2015年12月24日

ギルドマスターとChristmas 〜 聖夜、ふたりの師匠と聖夜

←聖なる冬の暴風前線

冬の祭日が近づいてきたある日のこと。

君はウィズと共に火口の遺跡、アユ・タラへと向
かっていた。

その街のギルドマスター、ティア・ソビアから手
紙が届いたのは、数日前のことだ。

[ウィズ]
冬になれば涼しくなるかと思ったけど、この街は
季節関係なしにあっついにゃ!

たしかに、火山から絶え間なく流れ続けるマグマ
の熱が君の体力を奪っていく。

[ウィズ]
それにしても、ティアはいったいどんな用がある
のかにゃ?

なにやら火急の用らしいが、その内容について、
手紙では一切触れられていなかった。

とにかく、一刻も早く会いたい、ということらし
い。

[ウィズ]
もしかして新しい魔法でも見つかったのかもしれ
ないにゃ?

あるいはウィズをもとの姿に戻す方法がわかった
のかもしれない。

君はそんな希望を口にする。

ティアは現在クエス=アリアスで使われている魔
法体系を確立した考古学者だ。

あながち、ありえない話ではない。

君は研究室に篭って膨大な書物と向き合うティア
の姿を思い浮かべる。

この街を去ってからさほど時は経っていないはず
なのに、妙に懐かしい気持ちがした。

マルガやティアは元気だろうか? そう君は呟
く。

[ウィズ]
そう言えばキミとティアは師弟関係を結んでた
にゃ。そんなに師匠のことが恋しいのかにゃ?

いつになく含みのある物言いをするウィズに君
は苦笑する。

[ウィズ]
でも、本当に元の姿に戻れる方法を教えてくれる
なら、最高のクリスマスプレゼントにゃ!

[ウィズ]
さあ、先を急ぐにゃ!

ウィズは君の肩から飛び降りて、アユ・タラの方
角へ走りだした。

(道中)
ティアはやっぱり相変わらずにゃ!

アユ・タラへと辿り着いた君たちは、さっそくギ
ルドの扉を叩いた。

[マルガ]
お久しぶりです、魔法使いさん。ようこそい
らっしゃいました。

久しぶりに見るマルガは元気そうで、君はひとま
ず安心するが──

Xmasティア.jpg

[ティア]
遅いぞ! 魔法使い!

ティアは相変わらずの高圧的な調子で君を出迎え
る。

[ティア]
それじゃ、さっそく出発するぞ。

[ウィズ]
どこに行くにゃ?

[ティア]
相変わらず、いちいちうるさいやつだな! オベ
ルタワーに決まってるだろ?

……少なくとも、決まってはない。

君はそんな言葉をぐっと飲み込む。

ティアはこう見えて君よりもはるかに年長なの
だ。

君はやり場のない気持ちを抑えながら、ティアに
要件を聞く。

[ティア]
言っただろう? 緊急の用事があるって! お前
は黙ってボクについてくればいいんだ。

[ウィズ]
……やっぱりオベルタワーで新しい発見があった
のかにゃ?

もしかしたら本当にウィズを元に戻す方法が?

黙ってついてこい、と言われたものの、君は期待
に胸をふくらませて、ティアに訊ねる。

[ティア]
……ふん。まあそんなところだ。

[ウィズ]
やったにゃ!

[ティア]
でもその前に、お前の力を試しておこう。

[ティア]
お前たちの用事には少々危険が伴うからな。

(クリア後)

[マルガ]
もう! いい加減にしてください! ギルドが
滅茶苦茶になってしまいます!

ギルドの中で互いに激しく魔法を放つ君たちの戦
いは、マルガの声によって終止符が打たれた。

[ティア]
はぁ、はぁ……。よし、合格だ。やはりボクが弟
子だと認めただけのことはある。

肩で息をしながら、ティアが言う。

[ティア]
よし、ついて来い!

そう言って、ティアはギルドから出て行ってしま
う。

どうやら、ウィズを元の姿に戻すには、それなり
の魔力が必要らしい。

君はウィズと共にギルドを出ようとするが──

[マルガ]
ちょっと待って下さい!

と、マルガに呼び止められる。

[マルガ]
これを持って行ってください。きっと必要になり
ますから……。

と、マルガは君に一対の手袋と大ぶりのスコップ
を手渡した。

これが必要? 君は少し不安になって、マルガに
説明を求めるが……。

[マルガ]
……あ、そうだ! 私お洗濯の途中でした!ほ
ら、魔法使いさんも早く行かないと!

と、はぐらかしてギルドの奥へと消えてしまった。

しかたない……。

君はため息をついてから、ギルドを出た。

  *  *  *

オベルタワーへつくと、ティアはすでにスコップ
を構えて君たちを待っていた。

[ティア]
相変わらずとろいやつだな! 待ちくたびれた
ぞ!

[ティア]
それにしても随分積もったなあ。

そう言って、ティアは目のタワーを見上げる。
(※原文ママ)

確かに、塔の上部は真っ白い雪に覆われている。

[ウィズ]
……まさか私たち、雪かきのためにわざわざ呼ば
れたのかにゃ?

[ティア]
ああ。毎年やってることなんだが、今年はどうも
雪が降りすぎて困る。

……。

…………。

…………。

結局、その日1日をかけて、君はオベルタワーの
雪かきを終えた。

  *  *  *

[ティア]
どうだ? 魔法使い? いい運動になっただろ
う?

確かに、普段使わない筋肉を使ったことで、君の
体は心地よい疲労感に包まれていた。

[ウィズ]
雪かきくらい、発掘作業員に手伝って貰えばいい
にゃ!

[ティア]
……いちいち口答えしなくていいんだよ。

それで、ウィズを元の姿に戻す方法は?

君はそうティアに訊ねるが、

[ティア]
……そんなもの、すぐにわかってたまるか! そ
れにわかってたらとっくに教えている。

どうやら君たちは本当に、雪かきのためだけに呼
ばれたらしい。

[ウィズ]
期待して損したにゃ……。

[ティア]
うん? 何か言ったか?

[ウィズ]
何でもないにゃ……。

[ティア]
そう気を落とすな。いいか? オベルタワーに雪
が残ってると、中の石版が痛むだろ?

[ティア]
そうなったら、もうこれ以上新しい発見ができな
くなるかもしれない。

[ティア]
今日の雪かきが、やがてウィズを元に戻す方法を
見つけるのに役立つんだ!

[ウィズ]
……なんだか、ものは言いようって感じがする
にゃ。

[ティア]
ならいい。さあ、帰るぞ!

ギルドへ戻った君たちを、マルガはテーブルいっ
ぱいのごちそうを用意して待っていた。

[マルガ]
今日はお疲れさまでした。さあ、どんどん召し上
がってください。

[ティア]
どうしたんだ? この料理は? 弟子ひとりを労
うにしては、ちょっとやり過ぎじゃないか?

[マルガ]
だってほら、今日は聖夜ですから。

[ティア]
……そうか。おい魔法使い! 雪かき程度でごち
そうにありつけるなんて、ラッキーだったな。

[マルガ]
ティア様、ああ言ってますけど──

と、マルガが君の耳元で囁いた。

[マルガ]
本当はすごく楽しみにしてたんですよ。魔法使い
さんと一緒に聖夜を過ごすのを……。

結局、ウィズを元に戻す方法はわからなかった
が、マルガの料理は最高に素晴らしかった。

それに──

ふたりの師匠と過ごす聖夜も……。

想い出の一冊→

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posted by yamanuko at 23:51| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

禁戒の聖域 シャロン&テオドール

柔らかな日差しが降り注ぐ野には、一面の美しい花が咲いていた。
シャロン・イェルグは野に咲いた花へそっと手を伸ばし、少しの間ためらった後、困った顔をして手を引っ込めた。
「……テオ」
助けを求める表情で見上げられ、テオドール・ザザは微笑みを返す。そのまま優しい手つきで花を摘むと、彼は何も言わずシャロンの手元へとそれを運んだ。
「ありがとう、テオ」
まるで不安がほどけていくかのように、シャロンは言いながら柔らかくはにかむ。対し、テオドールは返事の代わりに再び微笑みを浮かべた。
彼の腕の中に収まるほど小さなシャロンは、皇界という名の異界に於いては頂点の存在である。しかし、あまりに幼いうちに玉座へ担ぎ上げられた彼女は、第三者の評価をして「据え物」──つまりお飾りとしての価値しかないと目されていた。
つい、先日までは。
(……シャロン様は、変わられた)
シャロンを守るべき「皇の剣」であるテオドールは、改めてそう思う。皇座を継承した頃のシャロンは役割を果たすためだけの人形のようだった。自我は薄く、これといった欲求も無く、放っておけば陽の光に溶けてしまうのではないかと思うほどに儚い、無気力で無感情な少女──青い空を仰ぎながら、テオドールは出会った頃のシャロンを思い出す。
「ねえテオ、あの丘の上に行きたいわ」
日傘を透かした光に照らされる横顔には、その頃の面影は既に無い。穏やかな性格はそのままであるが、彼女の表情は近頃ころころとよく変わる。テオドールを困らせるようなワガママも、少し遠慮気味ではあるが、時折口にするようになった。
皇の剣として滅私を誓うテオドールであるが、彼はその変化を心から嬉しく思う。
「……ねえ、テオ」
ゆっくりと花の咲き乱れる丘を、テオドールに抱えられ登りながら、シャロンは彼を見ずにつぶやいた。テオドールは返事をしない。
「私ね、あなたが居てくれて、本当に良かったと思う」
「……シャロン様」
「ただのお飾りだった私に、テオはいろんなことを教えてくれたよね」
そこまで言うと、シャロンは日傘をたたみ、降り注ぐ陽の光に目を細めた。
ふと、少し強い風が吹く。テオドールはその風からシャロンを守るように、太陽に背を向けた。
「……まるで、テオは大きな空みたいね。優しく、力強く、私をいつも見守ってくれる。私の本当に欲しいものを、いつも何も言わずに与えてくれる」
逆光を背負うテオドールを見つめ、シャロンはそう言いながらはにかむ。思いがけない言葉に、テオドールは胸を締め付けられるような感覚を覚えた。
「あのね、テオ。私はね……その……」
シャロンは胸につかえた気持ちを、どうにか言葉にしようとした。だが彼女は、それをどういう言葉にして良いのかわからなかった。
不思議に思ったテオドールは足を止め、シャロンに向けてほんの少し首を傾げる。
「……!」
思いがけずテオドールと目が合い、シャロンは咄嗟に唇を噛んでうつむいた。顔が熱い。この気持ちを言葉にしてテオに伝えたい。でも、どんな言葉を選べばいいのか、わからない。
「ええと……」
どう言えば、この気持ちがそのままテオに伝わるのだろう。感謝でもなく、謝辞でもなく、もっともっと違う何か……ああ、でも、早く言わないと、私の言葉をテオは待ってる。だから、早く──。
「私はね、テオ。私は……!」
心を絞り出すように、シャロンは言葉を紡ごうとした。だが、テオドールはそっと彼女の唇を人差し指で抑える。
「シャロン様。それ以上は、私には勿体無いお言葉でございます」
言いながら、テオドールはいつも通りに優しく微笑んだ。シャロンは一瞬きょとんと驚いた表情をして、それから一度目を伏せると、丘の向こうへと目を流す。
「……見て、テオ。綺麗な海」
「……ええ」
小高い丘の上、潮の香が混じるそよ風を受けて、二人は何も言わずに佇んだ。
水平線に混じる空と海を見つめて。

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posted by yamanuko at 22:53| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

永久不滅の絆 シャロン・イェルグ

宮廷から程遠くない「霊雪の洞窟」。
聖夜で下界が賑わう中、シャロンは薄暗いその場所で土を掘り返していた。
「あった……!」
彼女がぱっと表情を明るくし、土の中から何かを取り出そうとした、その時。
「シャロン様、ここにいらしたのですか」
息を切らしながら、テオドールが声をかける。きっとシャロンを探しまわり、方々飛び回っていたのだろう。
彼女は、泥だらけの手を隠しながら、土で汚れた足のまま、バツの悪そうな笑顔を浮かべた。
「テオ、あの……私ね、ちょっと用事があって……」
「それは私に申し付けて頂ければ済む話です」
「でも……これは私がやらないと、駄目なの」
「泥にまみれることがですか?」
美しいシャロンが自ら進んで汚れて行くことなど、我慢がならなかった。苛立ちを隠さずにテオドールは続ける。
「良いですか、私と貴女では、住む世界が違うのです。それを……」
だが。
「違わない!」
シャロンはテオドールの言葉を遮り、叫ぶように言う。
「あなたと私の世界は、空も、雲も、大地も、過去も、未来も! 私と何も違わない!」
テオドールは驚きのあまり言葉を失った。初めてだったのだ。テオドールの言葉を、シャロンが遮ることなど。
「……テオは言ったでしょ、ずっと一緒に居るって。それなら、私の見る世界は──未来は、あなたの見る世界で、未来なのよ」
「……!」
彼は、無意識に作っていた自分とシャロンの間に横たわる、巨大で分厚い見えない隔たりが、彼女の言葉でゆっくりと崩れていく音を聞いた。
彼女は気づいていたのだ、テオドールの作っていた隔たりの存在に。彼女はか弱い手で、言葉で、行動で──少しずつ、その隔たりを、壁を、壊そうとしていたのだ。
テオドールは気づく。彼の作った見えない壁はシャロンを大きく取り囲み、閉じ込めていたのだと。

壁の名は、『鳥籠』。

シャロン様は、心に大きな翼を持っている。その大きくも優しい翼が羽ばたきたいと願っているのを、今まで私は『鳥籠』によって固く押し留め、『皇の剣』という名の逃げ道を作り、見ようともしなかったのだ──!!
(私は……否、私が! シャロン様を閉じ込めていたのか……逃げながら、逃げながら!)
そしてついに、彼女はその壁を、今日、今ここで壊したのだ。感極まったテオドールの頬に、一筋の涙がこぼれ落ちる。
「テオ……? だ、大丈夫? ごめんなさい! あの、私──!」
シャロンは生まれて初めてテオドールの涙を見た。慌てて、彼女は隠していた霊雪の結晶を取り出す。この洞窟でしか生成されない、とはいえありふれた、安価な宝石。
「これは……?」
「今日は、下界では聖夜なんでしょう? 下界ではこの宝石を、大切な人に贈る日だって聞いて……」
「シャロン様が……私に?」
「ええ、私がテオに。だから、その……泣き止んで、ね? どこか痛いの? 大丈夫?」
「……ははっ、はは……シャロン様は、お優しい」
──シャロンに心配されながら、彼はふっと表情を崩す。それは『皇の剣』ではなく、『彼』が初めて浮かべた、心からの笑顔。
「何よりも嬉しい、プレゼントですよ」

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posted by yamanuko at 22:52| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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