そこでは「デザートン」という魔人が島中のおかしを食べまくる事件が起きていた。
三人は人々を救うため、デザートンをこらしめることを決意。
ラヴリの召喚術で助っ人を呼び出そうと試みるが、思いもかけない人物たちを呼び出してしまう……!

* * *

[ラヴリ]
さぁ〜到着しましたよ〜♪ ここが、世にもマレ
なおかしの島、"スィー島"で〜す!
彼女──ラヴリは、お菓子を食べたときの"幸せ
な気持ち"から生まれたという、お菓子の案内人。

[プレミオ]
世にも稀……か? 我々の出身地もお菓子の国だ
ろう?
大人気ユニットプレミアムピークのひとり、プレ
ミオがそう言った。
そして──。

[ピーク]
つまりねプレミオ、私たちのいたところも珍し
かったってことよ♪
プレミオを呼んだのがピーク、プレミアムピーク
のもうひとりである。
<お菓子の国>ではふたりのことを知らない者は
いない。国王すら彼女らにメロメロなのだ。
ピークとプレミオのふたりは、旅の途中で知り
合ったラヴリに導かれ、
スィー島へとやってきたのだった。
[プレミオ]
そうなのか……世界は広いな……。
[ピーク]
見て見て! すっごくおっきなカカオの実がなっ
てるわ!
[プレミオ]
これは確かに珍しい……。
[ラヴリ]
それだけじゃないですよ〜? チョコの森があっ
たり、ジュースの湖があったり……。
[ピーク]
へぇ♪ ちょっと、やりすぎってくらいおかしで
溢れてるのね!
[ラヴリ]
きっと、おふたりの国にも生かせるアイディアも
たくさんあるとあると思いますよ〜♪
[ピーク]
ほら〜プレミオ、考え込んでないで、あちこち
行ってみましょうよ!
[プレミオ]
まぁ、そうだな。見聞を広めるのは無駄なことで
はない。
[ラヴリ]
ではでは〜、私についてきてくださ〜い♪
三人は、色とりどりのお菓子の島を、軽やかな足
取りで進んで行く。
* * *
……町へとやってきた三人は、人々とすれ違うた
びに首をかしげる。
[ピーク]
あれ〜? どうしてみんな、浮かない顔をしてる
んだろ〜?
[プレミオ]
何か困りごとでもあるのだろうか?
[ラヴリ]
ちょっとお話を聞いてみましょう。あの〜、すい
ませ〜ん……。
三人が事情を尋ねてみると──
[プレミオ]
大喰らいの魔物、デザートン……?
デザートンという魔物が、お菓子をひとり占めに
していることがわかった。
おかげでスィー島の人々は、お菓子を食べること
ができず、表情も暗いまま……。
[ラヴリ]
……これはいけませんね! とてもよろしくない
事態です!
[ピーク]
ラヴリ? 興奮しちゃってどうしたの?
[ラヴリ]
だってだってですよ!? おかしっていうのは、
ちいさな幸せなんです!
[プレミオ]
ちいさな幸せ?
ラヴリが言うには、ちいさくても誰かと一緒に分
かち合うことで、幸せは広がっていく。
そして彼女は、ひとりで独占するのは、違うんで
す! と力強く口にした。
[ピーク]
いいこと言うわね。私も同意よ。お菓子はみんな
で仲良く食べなくちゃ!
[ラヴリ]
そうと決まればこうしちゃいられません!
[ラヴリ]
そのデザートンという方に、一言いってやりませ
んと! 行きますよ! おふたりとも!
[ピーク]
あっ、待って! もうあんな遠くに……。
[プレミオ]
お菓子のこととなると素早いんだな……。
* * *

[???]
渇く……! もっと……! もっとよこ
せぇ……!
デザートンに対面した三人は、"確かに、いくら
でもお菓子を食べそうだ"と思った。
怪物が大口を開け息を吸うと、あたりからお菓子
が引き寄せられてくる……!
[デザートン]
足りない……足りない……!
[ラヴリ]
あなたがデザートンですね!
[デザートン]
おれを呼ぶのはだれだぁ?
[ラヴリ]
私よ! ラヴリって言います! はじめまして!
[デザートン]
はじめまして……。
[ラヴリ]
早速なんですが、一言いいでしょうか!?
[デザートン]
…………。
[ピーク]
ちょっとラヴリ、もう少し落ち着きなさいよ?
[ラヴリ]
お菓子はみんなで食べましょう!
[デザートン]
みんな……みんな……!!!
[ピーク]
なっ、なに!? ものすごいエネルギーが……!
[デザートン]
おれだってみんなのひとりだろぉぉぉおおお!
[プレミオ]
ヤツの力……<歪み>とでも呼ぶべきか、それが
高まっている……!
[プレミオ]
危険な予感がするぞ……!
[ピーク]
ま、まさか、ドカーン! とかボッカーン! と
かなりそう!?
[ラヴリ]
これは……! こうなったら、アレです
ね……!
ラヴリが高々とステッキを掲げた。
ピークとプレミオは意図がわからず、首を傾げ
る。
[ラヴリ]
召喚しかありませんね!!
[ピーク]
へ?
[ラヴリ]
私の力で、色んなところからこの状況を打破して
くれる強い人を呼ぶんです!
プレミオが、「誰を呼ぶ気だ?」とどことなく不
安げな表情で問いかけた。
[ラヴリ]
私にもわかりません!
[ピーク]
どういうことよ!?
[ラヴリ]
大丈夫、友だちの友だちはみんな友だちです!
いきますよ〜……!
[デザートン]
うぅ……! トモダチ……!
[デザートン]
うおぉぉぉぉぁぁぁぁあああああ!
[ピーク]
あぁっ!? なんか余計興奮してるっ!?
[ラヴリ]
え〜い! 甘いの甘いの、いらっしゃ〜い!
01.呼び出された先→
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