2016年12月27日

天女たちはあの鐘を鳴らしたい! 〜 鐘を突くのは誰!?

←天女のお仕事

12支神は、それぞれ動物の姿をしており、
巷の人々は彼らを「福の神」として
崇めている。

福の神は、毎年それぞれ持ち回りで、
人々に「幸」を与える役割を担うのだが……。

個性的な福の神たちは、
時々わがままを言って、
人々を困らせたりもする。

気まぐれな福の神を諌めるのは、
天女たちの役目だった……。

阿申.jpg

[阿申]
がははは!

吽申.jpg

[吽申]
いいぞ、もっとやれ!

[トリテン]
(ビシュラちゃんのお陰で、なんとか勝てた。
それにしても、手の掛る福の神様だこと)

阿申たちは滅多に人里に降りてこないが、
12年に一度「申年」の年の瀬になると
下界に降りてきて鐘を突く。

その鐘の音を聞くと、1年分の不幸が
すべて洗い流されるご利益がある
と言われている。

[マワシ]
こら、イチロウにジロウ!
ちゃんと言われたとおりに、
整列しなきゃダメじゃないか!

[マワシ]
そっちに並ぶんじゃないよ。
ちゃんと一列に並ばなきゃ!

[マワシ]
お座り! どうした?
お座りできないのかい?
なに、座り方がわからない?

[マワシ]
じゃあ、うちがやってみせるよ。
ほら、こうやって座るんだよ。……
こらこら、うちの頭の上に乗るんじゃないよ。

[マワシ]
本当に反省してるのかい?
じゃあ、それを態度で見せてみなよ。
ほら、反省。

[阿申]
がっはっはっはっ!
あの子猿ども、なかなか面白い動きを
しよるのう、吽申?

[吽申]
ワシは……、
同じ猿が、奴隷のように扱われているのを見て、
少し複雑な気分になったぞ。

[トリテン]
あら? お酒が進んでませんわね。
ささっ、もっと沢山飲んでくださいねー。

芸を終えて舞台から降りてきたマワシは、
少しは機嫌が直ってる福の神たちの
様子を見てほっとしていた。

[マワシ]
(機嫌をとって、なんとか鐘を突いてもらわない
とね。次はビシュラちゃんか。
大丈夫かな? 心配だな……)

緊張した面持ちで舞台に
上がっていくビシュラ。
歩き方が、どうもぎこちない。

[ビシュラ]
ビ……ビシュラと申す。
ワタ……私は、剣の心得が少々あるので、
居合い斬りを披露したいと思う。

[トリテン]
(あちゃ〜。ビシュラちゃんカチカチだ〜。
こりゃあ、あんまり期待できないかな)

[マワシ]
(ビシュラ、ここはあんたに掛っているんだよ。
なんとか、頑張って!)

いざ、というかけ声と共に
ビシュラは腰を落として
居合いの構えを取る。

[吽申]
ほう、あの娘。
顔つきが変わったのう。

一瞬の間を開けて、ビシュラは剣を振り抜いた。
ビシュラの手元は早すぎて、
マワシたちにはよく見えなかった。

[マワシ]
(なに今の……?
一瞬強い風が吹いたように感じたけど……)

ことっと音がして、
ビシュラの目の前にあるろうそくが、
真っ二つに割れて地面に落ちた。

[吽申]
おお、見事な剣さばきだ。
あの刹那に、3度も切りつけるとは。

[ビシュラ]
みえたっぺか? さすがは、福の神様だ。

[トリテン]
(全然、わからなかった。
でも、福の神様が喜んでるからすべてよし!
拍手!)

[阿申]
ところで、そこにいる鳥の娘。
貴様は、なにか芸はないのか?

[トリテン]
私ですか!?
私は、皆様に幸を与えるのが、仕事なのです。

[阿申]
ほう、お前たち天女も、
人に幸を与えるというのか?

[吽申]
面白い。
ひとつその幸とやらをワシらに分けてくれまいか?

[トリテン]
ええ……どうしよう?

[阿申]
なにを困っておる?
芸をしないのなら、
普段やってることをワシらに見せてみよ。

[トリテン]
……わかりました。やってみせます!
幸、注入してごらんにいれます。
いくよ、くーちゃん。ぐーちゃん!

なにを思ったのか、
トリテンは大猿たちの後に回って、
大きく手を振りかぶった。

[トリテン]
幸注入。──てええええええい!

ぱちーんと音がした。
大猿阿申の背中の毛が、
痛みで逆立っている。

[阿申]
なんだそれは!? ただのビンタではないか!
そんなもので、人に幸が与えらえると思うのか?

[吽申]
気分を害した!
今宵の宴は、ここまでじゃ!

[マワシ]
そんな!?
どうか……気持ちをお鎮めください!

[阿申]
せっかく良い感じに酔いが回っておったのに……
むしゃくしゃが収まらん!

[吽申]
阿申よ、こういう場合、やることは決まっておる。
暴れる……この怒りが収まるまで暴れるのみじゃ。

[トリテン]
ああ〜。やめてください。
どうしよう、マワシちゃん。
ビシュラちゃん!?

[マワシ]
うちはもう知らない。
あんたの責任なんだから、
あんたがなんとかするのよ!

[トリテン]
見捨てないで〜。おねがいー!

トリテンが招いた危機に、
どうにもならないと悟ったマワシは、
事務所に連絡して応援を頼んだ。

応援に駆けつけた天女たちとともに、
その日は年越しソバを食べるのも
諦めて天女の役目に没頭した。

気まぐれな福の神と、彼らのご機嫌を取ろう
とする天女の攻防は、
年が入れ替わる寸前まで続いたとのこと……。

ちなみに、その年の除夜の鐘は、
無事人々の耳に届いたそうだ。

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天女たちはあの鐘を鳴らしたい! 〜 天女のお仕事

←師走の街頭インタビュー

[ビシュラ]
ワタスはビシュラ。
ここより遥か遠い……
年中、雪で覆われた北国から
来たもんだぁ。

[ビシュラ]
北国は食料が乏しくて、
猿は、ご馳走の部類に入るんだっぺ。

[マワシ]
そんなことどうでもいい!
この子らは、私の大事な相棒よ!
それに、いまは撮影中!

[マワシ]
猿がむさぼり食われる
ショッキングなシーンを、お茶の間に
届けるわけには、いかないの!

[ビシュラ]
撮影? そういえばあんたら、
キラキラしたべべ、身につけてなさんな?

[ビシュラ]
ひょっとして、あんたらが
都会で人気の天女様だっぺ?

[トリテン]
わーい、北国から来た無知な田舎者にも
私たちの噂が届いているのね!?
トリテン、うれしー。

[マワシ]
さらりと酷いこと言うなお前!?

[ビシュラ]
よかった……。ワタスは、
天女様に会うために、飯も食わずに
はるばる旅をしてきたんだぁ。

[ビシュラ]
お願いだぁ、ワタスも天女になりたいんだ!
あんたたちの仲間にしてくれなっせ!?

[マワシ]
ちょっとあんた、天女ってそう簡単に
なれるものじゃないのよ。
まずはオーディションを受けて──

[トリテン]
あなたは、なにか特技はあるの?

[ビシュラ]
特技といえるものは、なんもねぇけど……。
腕っ節には自信がある。ワタスは、
これでも、北国一の剣士と言われてたっぺ。

  *  *  *

[マワシ]
(それが、私たちとビシュラちゃんとの
最初の出会いだった……)

事務所社長の鶴の一声で、
ビシュラは、とりあえず天女見習いとして、
グループに所属することになった。

剣を握ることしか知らないビシュラが、
天女になるための修行の日々は、
こうして始まった──

  *  *  *

[マワシ]
いい? 今夜の仕事は、
なんとしても福の神様を楽しませなきゃ
いけないんだからね?

[ビシュラ]
了解だっぺ。

[トリテン]
んもー。ビシュラちゃん!
その田舎訛りを直さなくちゃダメだって
社長に言われたでしょ?

[ビシュラ]
申すわけねぇだぁ……。
生まれつきの言葉……
なかなか抜けてくれなくて。

[???]
吽申よ! 天女が来る日だと聞いたが、
一体どこにおる?

[吽申]
阿申よ! お前はいつも我慢が足りないぞ!
もう直ぐ出てくるだろう!

[マワシ]
ああ、まずい。今日のお客様がいらついてる!
舞台に出て行かないと!

[トリテン]
練習した通りに……ね?
福の神様の前だからって、
焦ることはないからね!?

[ビシュラ]
は……はい!

[トリテン]
じゃ、じゃあ、行くよ!

[マワシ]
舞台はこっち。そっちは、お墓よ。

 *  *  *

[マワシ]
どうもー。
私たち、とっても陽気な3人天女。
「年忘れシスターズ」でーす!

[マワシ]
うちが長女のマワシ。お猿さんは。大事な友だち!
お猿さんよりも反省の回数が
多いです! 反省!

[トリテン]
次女は私!
幸せの"し"は、さしすせその"し"!
みんなに幸福を与えます!

[トリテン]
近々、トップ天女になる予定の
ト・リ・テ・ンです!
よろしくお願いします!

[マワシ]
(さあ、ビシュラ。あなたの初舞台よ。
まずは、この自己紹介を乗り切って
みせるのよ)

[ビシュラ]
あ……あのワタス……。
ああ……っ! やってしまったべ。
いきなりワタスなんて。

[ビシュラ]
やっぱり、うまく出来なかったぁ。
こうなったら、腹を切って詫びるしか
ねぇっぺ。

[阿申]
なんだこれは?
随分とダメな天女がいたもんだのう、
吽申よ?

[吽申]
とびっきり美しい天女を寄越せ
と注文したはずだがのう、
阿申よ?

[阿申]
いったいこらぁ、どうなっとるんだ?

[マワシ]
(やっぱりこうなったか……。
ビシュラの田舎訛りが、興をそぐ形に……)

[阿申]
おい、そこの娘。
お前本当に天女か?
お前の身体は、色気がなさ過ぎるぞ。

[吽申]
そうじゃ、そうじゃ。
そんな子どもじみた女は興ざめじゃ。

[マワシ]
えええっ!?
足を引っ張ってるのは、うちー!?

[吽申]
天女たちよ、そこの小娘の分まで
ワシらを楽しませてみよ。

[阿申]
出来なかった場合は……
ワシらは、除夜の鐘を突かん!
よいな!?

[トリテン]
ひえっ! 除夜の鐘がなければ、
世間の皆様は、新年を迎えられない。
これは責任重大です!

[マワシ]
でも、楽しませるってどうやって……?

[吽申]
それは決まっておる。
ワシらと、相撲を取るのよ!

[阿申]
勝てば鐘を突いてやる!
しかし、負ければ……。
わかっておるな? ふふふっ。

[ビシュラ]
先輩方、こうなったらやるしかないっぺ!
この大猿様たちと戦って、勝つしかない!

[マワシ]
そうだな……やろう!

[トリテン]
ええ〜!? 絶対に無理ー!?
私、身体張った仕事は、
やりたくないのにー!?

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posted by yamanuko at 23:18| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

天女たちはあの鐘を鳴らしたい! 〜 師走の街頭インタビュー

ここは、12の支神に幸を与えられし異界。

動物の姿をした神様が、
人々を見守りながら、
時に寛大な心で幸と福を与え──

人間たちは、そんな神様たちに
感謝しながら慎ましく生きていた。

トリテン.jpg

[???]
どうもー! 今日も始まりました。
ビューティー12天女が案内役を務めます
「ぶらぶら道草の旅」

[???]
今日は、六本松の街にやってきましたよー!
いやー、マワシちゃん。人が沢山いるねー。

マワシ.jpg

[マワシ]
年の瀬だからね。
みんな年末の仕込みで忙しいのさ。

行き交う人々は、露店で正月用の餅を
買ったり、大きな熊の手を模した
飾りを買ったり、とても楽しそうだ。

[???]
じゃあ、早速、町の人たちにインタビュー。
いまから突撃するぞー。おー!

[マワシ]
おー!

[???]
そこのあなた! あなたは今、幸せですか?
まさか、この年の瀬で
死にたいとか考えてませんよね?

[マワシ]
なにを聞いとんじゃ!?

ビシュラ.jpg

[???]
じ……実は腹が減って……
もう動けないっぺ……。いっそここで、
人生を終えた方が楽じゃないかと思ってるっぺ。

[マワシ]
死を考えてる人いたー。
でも、こういう場合、どうしたらいいのよ?

[???]
腹の虫は、もうなる元気も失ってるようだっぺ。
はあ……こんなひもじい思いするなら、
都会になんか出てくるんじゃなかった……。

[???]
なんだか、可哀想。
あなたは、格差社会のシンボルですね。

[トリテン]
でも、絶望した人は見捨てておけない!
トリテンが、天女たちを代表して
「幸」を与えちゃうよ!

[マワシ]
あ、こら! そんな勝手に幸なんて与えたら──

[トリテン]
はい。顔をこっちに向けて、そして幸注入!
しゃあ、こらぁ!

[???]
ぐはっ! なぜにっ!?

[マワシ]
ど……どうだ?
多少は、マシな気分になったか?

[???]
いや、別に……。
腹も膨れてないだぁ……。

[マワシ]
だろうな。
突然、すまんかった。

[トリテン]
でも、あなたは今とても幸せ?
イエスかノーで! え? ノー?
つまり、イエスに近いノーってことですね?

[トリテン]
はい! ありがとうございました〜。
トリテンとビューティー12天女を
これからもよろしく〜。

[マワシ]
強引に締めよった!?
あとで抗議が殺到しても、うちはしらんぞ!

[トリテン]
あ〜。今日も、ひとり幸せにしちゃったなー。
これでまた、天女としての格が
上がったなー。

[マワシ]
あまり調子に乗るんじゃないわよ。
今はまだ、12天女の現トップは、
うちなんだから!

[マワシ]
ビンタするだけで、
人に幸を与えた気になってるあんたと
違って──

[マワシ]
うちは、人生をかけて磨き上げた芸を
人に見てもらって、
幸せになってもらうのよ!

[マワシ]
トップ天女の真の生き様、
そこで見さらせ!
いくわよ、猿のイチロウとジロウ!

[マワシ]
あれ……? いない?

[???]
うわー。猿だ……。
へへっ。もう食べられるなら、猿でもいいや。

[イチロウ&ジロウ]
ききーっ! ききーっ!

[マワシ]
うちの猿たちが、食われそうになっとる!?

[マワシ]
食っちゃだめ〜!?

天女のお仕事→

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posted by yamanuko at 23:17| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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