2017年01月09日

大魔道杯 in ドルキマス 〜 エピローグ

大魔道杯inドルキマス.jpg

[ウィズ]
キミ、お疲れ様にゃ。

きみもウィズにお疲れ様、と言って、
大きく息を吐いた。

あたりは熱狂の余韻に包まれている。

[ウィズ]
これからディートリヒのところに戻るにゃ。

わかってるよ、と君は言う。

散々な目に遭ったけれど、
今、戻る場所はひとつしかない。

だからこうしてその道のりを歩いている。

[ウィズ]
こんな大変な思いをするのは
当分は勘弁してほしいにゃ。

君は、そうだね、と口にした。

ほどよい疲労感に体を委ねながら、
だけど少しだけ軽い足取りで、
君とウィズは帰路についた。

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posted by yamanuko at 23:51| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

暁の千鬼夜行 ミオ・ツヅラオリ

ここは和ノ国。
カラッと晴れた青空の下、街道脇の茶屋で、ミオ・ツヅラオリは大いにはしゃいでいた。
「ハヅキさんハヅキさんハヅキさん!!」
彼女が話しかけているのは、大量の剣を抱えた女剣士。名をハヅキ・ユメガタリと言う。
「はい、はい、はい……」
心底面倒くさい、と言わんばかりの表情で団子をぱくつきながら、ハヅキは呼ばれた名前の数だけ返事を返した。
「で、ミオ。なんか用か? あと呼び捨てで良いって何度も言ってんだろ」
「あわわわわ……!!」
「は? ……いや、だから何の用なんだよ」
「ハヅキさんに名前を呼ばれました……! 名前を呼ばれました!!」
隠す素振りも見せず、ハヅキはめんどくせぇー、とわかりやすく顔に出しながら大きなため息をついた。
二人が知り合ったのは、およそひと月ほど前。あらくれ者たちに絡まれていた彼女を、ハヅキが気まぐれに助けたことから、ミオのつきまといに近い絡みが続いている。
彼女はその体験により、ハヅキに憧れて剣を習い始めようとしたが、たくさんの剣を腰と背中に差したら身動きが取れなくなってしまったため、しぶしぶ都の魔学舎へ入学し、現在に至っている。
「私を助けてくれたハヅキさんには、本当に本当に感謝してます! ありがとうございますハヅキさん!」
真正面から感謝の言葉を受け、ハヅキは一瞬きょとんとしてから、唇を尖らせて少し頬を赤くした。
「だ、だからよ、呼び捨てで良いって。さんとか様とかそういうのくすぐってぇんだよ」
「いーえ! 命の恩人を呼び捨てになんてできませんよハヅキさん!」
「はぁ……まったく、勝手にしろぃ」
「ふふっ、なるほどー。ハヅキの弱点みーっけ」
ぷいっと横を向いたハヅキの横に、盆に乗せた団子とお茶を運んできたのは、ツバキ・リンドウ。彼女は団子とお茶を二人に渡すと、上品にハヅキの隣へと腰掛ける。ちょうどハヅキを挟むような形で、長椅子には女子三人が並ぶ形になった。
「それで、ミオちゃん。魔学舎での勉強は順調?」
「あ! それはもう順調です順調です!」
ミオはツバキにそう言うと、グッと力を込めて、魔力を手に集める。それから空中にするすると模様を書くと、そこからぽん、と小さなカエルが現れた。その額には、今しがたミオの書いた模様がついている。
「おおー、すごいわねミオちゃん。ねえ、ハヅキ。カエルよカエル」
「ヒィ!」
「ん? どうしたんですハヅキさん」
「い、いや……カエルは苦手なんだよ……」
「えー、可愛いじゃないですか可愛いじゃないですかぁ」
そう言い、次から次へとカエルを召喚していくミオを見て、だんだんとハヅキの顔色は真っ青に変わっていく。
ツバキはそんなハヅキを見てイタズラな笑みを浮かべると、彼女の耳にこうつぶやいた。
「ゲコッ」
「ぎゃーー!! いーーーーやーーーー!!」
ハヅキの叫びとともに、トンビがひとつ高く鳴き、さらにそれを合図にしてハヅキは全力疾走を始める。
「あーん! 待ってくださいよハヅキさんハヅキさーん!!」
ミオはハヅキを追いかけ始め、その様子を眺めながら、ツバキは残された団子を黙々と食べていた。
「今日も平和ねぇ……」
和ノ国の空は、今日も今日とて、青く、高い。彼女たちの日常は、これから先も、まだ続く。

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ラベル:謹賀新年2017
posted by yamanuko at 23:34| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

二輪の銀閃花 ツバキ&ハヅキ

城下の西はずれ、刈り取りを待つ田圃を越えた丘の麓に、その屋敷はあった。
よく手入れされた道がまっすぐ突き刺さる門には「リンドウ」と書かれた表札があり、斜めになっているそれを直しながら、屋敷の主であるツバキ・リンドウはため息をついた。
「立ち寄る時は、手紙のひとつくらい寄越してね、とあれほど言いましたよね」
「悪い悪い、ちょっと近場で用事があってな」
ムスッとした表情のツバキに対し、満面の笑みを浮かべているのは、友人のハヅキ・ユメガタリ。背中と腰に差した無数の剣を自慢気に鳴らしながら、彼女は無作法に屋敷の敷居をまたいだ。
「勝負事はほどほどに、そのうち身を滅ぼしますよ?」
歩きながらハヅキの剣を受け取り、ツバキは不満げに口を尖らせる。
「それに何ですかその格好は。あなたは器量はいいんですから、おしとやかにしなさいとアレほど」
「だーっ! わかったわかった、とにかく、今は眠くて仕方ないんだ、客間借りるぞー」
「……もう!」
飄々と身を躱すハヅキに、ツバキは地団駄を踏む。だが、ツバキはふっとその表情を柔らかくし、思い出すように空を仰いだ。
「……ホント、台風みたいな人なんだから」
ツバキは、ハヅキが初めて道場に来た時のことを思い出す。
剣の道を極めんがため、道場破りをしに来たあの頃のハヅキは、それこそ抜身の刀のように気を立たせていた。今では、あの頃のハヅキのことが少し懐かしく感じる。


「んが……」
「寝てるし」
客間へと向かったツバキは、勝手に出された布団の上で大の字になっているハヅキを見て、本日二度目のため息をついた。脱ぎっぱなしになっている服を畳みながら、ツバキは眠ったままのハヅキに話しかける。
「まったく……お腹出して寝てると風邪ひきますよ?」
「んー……」
「ヨダレたれてます」
「んあ……?」
「目が半開き。かわいくないです」
「あー……」
まるで母親のように話しながら、ツバキはテキパキとハヅキの周辺を片付ける。この片付け好きも性分だなぁ、と思いながら、ツバキが次の仕事にかかろうと立ち上がった──その時だった。
「おい、ハヅキとかいう女剣士はここに居やがるか!」
響く怒号。察するに玄関の門からこの大声は聞こえている。同時にバタバタと誰かが屋敷へと入ってくる音も聞こえた。しかも土足で。
「……ハヅキ、お客様がいらっしゃってるわよ、あなたに」
「待ってました!」
バタバタと騒がしい足音に反応したのか、ハヅキは素早くヨダレを拭くと、着のまま剣の束を掴み部屋を飛び出す。
それを見て、ツバキは三度目になるため息をつくのであった。

庭へと飛び出したハヅキに向け、屈強な男たちが数名で睨みを利かせている。頭目と思しき男は一歩前に出ると、そのままの勢いで剣を抜いた。
「おいテメエ! 昨晩は色々世話になったな! ウチの若いもんをシコタマぶちのめしやがって!」
叫ぶ彼の顔には、目のあたりを横切る真新しい青あざがクッキリと残っている。おそらくは刀の鞘で思い切り殴られたのであろう、ツバキはその跡を眺めたあと、ハヅキをジットリと睨んだ。
「あれ、やったの昨日のあなたでしょ」
「先に光りモン抜いたのは向こうだ。自業自得ってヤツ?」
「あきれた」
「喧嘩はこの街の華だぜ、楽しめよツバキ!」
言いながら、ハヅキは自慢の剣たちを空へ撒く。ひとつひとつの剣はひとりでに鞘から抜け出ると、意思を持ったようにハヅキを中心にして放射線状に地面へ突き刺さった。
「本当、いつも騒がしいんだからハヅキは」
その刃の円の中へ、ツバキは言いながら音もなく足を運ぶ。腰に下げた長大な剣を一息で抜き放ち、その切っ先を男たちへ向けた。
「……やろうってのか。こっちは十人は居るんだぜ」
「こっちだって十本くらいは剣がある。一人一本ずつ相手してやろうか」
「めっ、挑発しないの。弱い人ほどよく吠えるんだから、そっとしておいてあげなさい」
「はーいツバキ先生」
「〜〜ッ!! やっちまえ!!」
激高した頭目の合図とともに、飛びかかる数名の男。だが、剣を構え、互いに背中を預けたハヅキとツバキに、切れぬものは無い。
「行くぜツバキ、遅れんなよ!」
「ハヅキこそ、私の間合いに入らないで欲しいですね!」
庭のけやきの木は、赤い葉をつけ始めている。そんな秋めいた騒がしいリンドウ屋敷の庭で、二つの銀閃がきらめいた。

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ラベル:謹賀新年2017
posted by yamanuko at 23:32| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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