2017年01月04日

謹賀新年2017 リフィル&ルリアゲハ編 〜 正月reckless

←回想メアレス

[ルリアゲハ]
リフィル。あなたどうして、この都市に来たの?

[リフィル]
その方が、魔力を溜めるのに都合がいいからよ。

[リフィル]
夢を持たない私は、
〈メアレス〉の条件を満たしている。

[リフィル]
魔法を使うにあたっては、
わざわざ魔力を買い取ってくるより、
自分で〈ロストメア〉を狩った方が効率がいい。

[リフィル]
もっとも──
そんな"リフィル"の前例はないそうだけど。

[リフィル]
え? "リフィル"って──

妙な物言いに、
ルリアゲハは思わず目を瞬かせた。

[リフィル]
アルトルム一門の魔道士は
代々その名を受け継ぐの。

[リフィル]
この人形に魔法を使わせるための
"代替物(リフィル)"という名前をね。

ルリアゲハは息を呑み──
そして、わずかに目を伏せた。

[ルリアゲハ]
……そうだったの。
ごめんなさい。そうとは知らずに。

[リフィル]
気にしてない。
その名前でしか呼ばれたことはないから。

[ルリアゲハ]
(それって……両親にさえ、
そう呼ばれていたってこと?)

絶句する。

わからない。
"代替物"──娘をそんな名で呼ぶ親の気持ちが。

あるいは──その親にしてからが、
"リフィル"だったいうことなのか。

[ルリアゲハ]
(だったらこの子が〈メアレス〉なのって……)

自分は夢を見たことがない、と、
かつて彼女自身から聞いたことがある。

まだ夢を持ったことがない、という
意味かと思っていたが──

[ルリアゲハ]
(家の使命に押し潰されて……
夢の持ちようもなかった、ってことなの?)

そこまで考えたとき、ルリアゲハは、
思わず問いを放っていた。

[ルリアゲハ]
それで……いいの?

[ルリアゲハ]
夢を見たいって、思うことはないの?

[リフィル]
夢は見ない。

無造作に、だが揺るぎなく、リフィルは言った。

[リフィル]
夢を見たら〈メアレス〉ではなくなる。
〈ロストメア〉と戦えなくなって、
魔力を稼ぎにくくなる。

[リフィル]
だから、夢は見ない。
見る必要もない。

ルリアゲハは戦慄とともに悟った。

この子に感じた"危うさ"の正体は、
これだったのだ、と。

[ルリアゲハ]
(この子の強さは、"知らない強さ"だ……)

夢を持つことの喜びも、
夢を失うことへの恐れも知らない。

生まれたときからの定めに従う。
それしか知らない。

だからこそ、揺るぎない。
揺らぐような余地がない。

[ルリアゲハ]
(でも……決して揺るがない心なんてない)

揺るぎないこと──それこそが、彼女の強さなら。

その心が、初めて揺らぐとき。

彼女の強さは、すべてがすべて、
瓦解するしかないのではないだろうか。

  ◆  ◆  ◆

(道中)
リフィルもずいぶん変わったにゃ。

[リフィル]
くっ……!

[ルリアゲハ]
こいつ……!

矢のような速度で突撃してくる異形を、
ふたりは左右に跳んで回避した。

ぎりぎりかわせた、というところだった。
とても反撃する余裕などない。

振り向くと、
突き抜けていった〈ロストメア〉が反転し、
じっとこちらの出方をうかがっている。

"誰よりも速く"。
すれ違ったときに、
そんな叫びを聞いた気がした。

願われた夢に応じて備わる固有の力。
この場合は"瞬間的な直線加速"か。

[ルリアゲハ]
どうやら、連続しては使えないみたいね。

[リフィル]
できたら、とっくに門に向かっている。

[ルリアゲハ]
どうする?

[リフィル]
魔法で拘束する!

言うなり、リフィルが詠唱を始めた。
ルリアゲハも何度か耳にしたことがある、
敵を電撃で捕縛する魔法だ。

リフィルの詠唱には、長いものと短いものがある。
どうやら長い詠唱の方が威力が高いらしい。

この場合は、長い詠唱の方だった。
弱い魔法は通じないと見たのだろう。

[ルリアゲハ]
だったら!

時間を稼ぐべく、ルリアゲハは前に出た。

敵がこちらを向いて、瞬時に"加速"する。
弾丸と化した〈ロストメア〉の突撃を、
ルリアゲハは横に転がってかわした。

体勢を立て直しつつ、動きを止めた敵へ1射。
相手は、別方向へと"加速"して逃れる。

それでいい。
リフィルの詠唱が完成するまでの間、
彼女から遠ざかる方向に誘導するつもりだった。

[ルリアゲハ]
鬼さんこちら、手の鳴る方へ!

"加速"による突撃をかわし、あるいは、
銃弾を見舞って"加速"をうながす。
その一連を繰り返す。

[ルリアゲハ]
(あの子の詠唱が終わるのが早いか、
あたしの弾が切れるのが早いか……!)

あと3発。焦りを噛み殺すようにして撃つ。

敵は"加速"して回避──しなかった。

ぎりぎりのタイミングで、身じろぎでかわし、
それからようやく"加速"した。

こちらへ。まっすぐに。

[ルリアゲハ]
(見切られた──!?)

衝撃が、全身を貫いた。

かわそうとしたが、かわしきれなかった。
ルリアゲハの身体は、突き抜ける悪夢に
引っかけられるようにして吹き飛んだ。

[ルリアゲハ]
うあっ……!!

軽々と宙を舞い、
叩きつけられるようにして橋上に転がった。

反射的に受け身を取るよう身体が動いたが、
それでも身を引きちぎられるような激痛が襲う。

[ルリアゲハ]
く、う……。

戦士の本能で身を起こそうとsるうルリアゲハの
目に映るのは、こちらにとどめを刺すべく
反転する〈ロストメア〉の威容。

敵が、即座に"加速"──
死を運ぶ弾丸と化して突っ込んでくる。

避けられない。そう悟った瞬間、
ふと、すべてが軽くなった気がした。

[ルリアゲハ]
(こんなものか……)

逃れようもない死。
その存在を、彼女は静かに受け入れた。

夢は妹に預けた。思い残すこともない。
目標も居場所もなく、流されて戦い続ける日々。
いつどこで終わったところで、変わりはしない。

戦い続けていれば、いずれこんな日は来る。
それがたまたま、今日だというだけの話だった。

リフィルの身の安全だけが気がかりだった。
だが、彼女の詠唱はもう終わるはずだ。

敵が自分にとどめを刺した後、拘束の魔法が──

[リフィル]
〈鉄 血 鋼 身 ッ
(クルオル・フェッレウス)〉!!

叫びとともに、弾丸が来た。

華奢な影が横合いから飛来──
ルリアゲハに突っ込んでくる〈ロストメア〉の
横腹に弾丸の勢いで突き刺さり、吹っ飛ばした。

[ルリアゲハ]
……え?

[リフィル]
〈ロストメア〉も……
不意打ちには弱いか……。

巨体を力ずくで跳ね飛ばした少女が、
ふらつきながら、ぶつぶつとつぶやく。

[リフィル]
身体強化(フィジカル・リーンフォースメント)
を応用した瞬間加速……
思いつきでも、やればなんとかなるものね。

自らも少なからぬダメージを負っているだろう
彼女に、ルリアゲハは、あわてて声を上げた。

[ルリアゲハ]
ちょ、なんで──

[リフィル]
なめるな、ルリアゲハ。

彼女は言った。厳然と。
起き上がろうとする〈ロストメア〉の姿を、
苛烈の瞳で見据えながら。

[リフィル]
あなたとコンビを組んだのは、
あなたを使い捨てるためじゃない。

[リフィル]
こういう強敵(あいて)に勝つためよ!

起き上がった〈ロストメア〉が、
怒りの咆哮を上げて"加速"した。

リフィルは、その突撃をひらりとかわす。

拘束魔法から切り替えて使用した強化魔法の効果。
しかし、身に負ったダメージで思わずせき込む。
そこに、敵が向き直った。

その背後から、ルリアゲハは銃撃した。

こちらの存在を忘れていた〈夢〉は、
背中に銃弾を叩き込まれ、絶叫する。

その間に、ふたりは距離を取った。

[ルリアゲハ]
無茶をするわね、まったく!

[リフィル]
無茶のひとつで勝てるなら、
やらない理由があるものか!

苦痛を振り払うように、リフィルは吼えた。

[リフィル]
あんな奴に負けてやるつもりはない。
意地のすべてで打ち負かす!

[ルリアゲハ]
(意地──)

忽然として、ルリアゲハは理解した。

[ルリアゲハ]
(そうか。あたしがこの子に見たものは、
"知らない強さ"だけじゃない──)

家のためだとか。使命だとか。

そんなものでは隠しきれない、確かな強さ。
彼女の心の奥から湧き上がり、
その瞳を強くきらめかせるもの──

意地。

夢もなく、目標もなく、居場所もなく──
それでも、彼女の奥には意地がある。
"負けてたまるか"という何より純粋な意地が。

そんな、だれにでもあるようなものが、
彼女はきっと、人一倍、強いのだ。

意地。自分にもあるだろうか。

いや、ある──ないはずがない。

[ルリアゲハ]
(この子がこうまでがんばってるのに、
年上のあたしがへこたれてちゃ、
格好ってもんがつかないわ!)

夢なきその身に残された、
愚にもつかない見栄と意地。

戦う理由は、そんなものでいい。

[ルリアゲハ]
しょうがないわね……!

ルリアゲハは立ち上がる。
艶やかな唇と笑みで歪めて。
かつてないほどの昂揚にまみれながら。

[ルリアゲハ]
なら、ひとつ──
意地の見せ合いっこといきましょうか!

  ◆  ◆  ◆

(クリア後)

[アフリト]
ちょいと来てくれんかね、おまえさんたち。

アフリトの声で、
ルリアゲハは回想から引き戻された。

[リフィル]
アフリト翁? 何か問題でもあったの?

[アフリト]
あれを見とくれ。

アフリトが指差す先──
広場の近くの屋根の上に全員が注目する。

ボンノウン.jpg

そこに、小さな影がいくつも飛んでいた。

[リフィル]
あれは……〈ロストメア〉!?

[アフリト]
いや。〈ロストメア〉ではない。
もっと小さな願望──いわば煩悩のようなものが、
魔力によって実体化しているようだ。

[リフィル]
煩悩……。

[アフリト]
ひとまず、〈ボンノウン〉と名づけた。

[リフィル]
他になかったの、それ。

リフィルが半眼で送る視線を、
アフリト翁は、さらりと無視した。

[アフリト]
門を潜ろうというそぶりはないが、
放っておいていいものではない。
ひとつ、片付けてはくれんかねえ。

[ゼラード]
しゃあねえ、相手してやるか。
ちょうど年明けまでヒマしてたところだしな。

[ラギト]
広場には多くの市民がいる。
怪物を近づけさせるわけにはいかんな。

[レッジ]
ああ。屋根の上で迎え撃つぞ!

[ミリィ]
うすうす!

  *  *  *

[〈ボンノウン〉]
おいしいものいっぱい食べたーい!

[〈ボンノウン〉]
楽してお金もうけたーい!

小さな怪物たちが、屋根の上で
わきゃわきゃとわめいている。

[リピュア]
しゃべった。

[リフィル]
まさに煩悩という感じね。

[〈ボンノウン〉]
今ならオトク!
業務用デジタル扇風機ィーーーー!

[〈ボンノウン〉]
水泳部、部員募集中でーす。

[ルリアゲハ]
なんか意味わかんないこと言ってるのが
混じってるけど。

[アフリト]
この世のものではないねえ。
おそらく、異界から流れてきた煩悩だろう。

[ルリアゲハ]
異界、って……あの魔法使いさんのいたとこ?

[アフリト]
そうとは限らんさ。
なにせ、異界というのはたくさんあってねえ。

[ルリアゲハ]
それで、どうして異界の煩悩なんてものが、
ここで〈ボンノウン〉になっているわけ?

[アフリト]
もともとここは、夢と現実の狭間という不安定な
土地柄ゆえ、異界と通じやすくなっているのさ。
ひょろっと妖精がやって来たりねえ。

[レッジ]
まさか、以前、
門の魔力が都市中に広がったせいで、
そういうものを招きやすくなっているのか?

[ゼラード]
なんだっていいだろ。
とっとと片付けようぜ。
あ、報奨金は出るんだよな?

[アフリト]
無論さ。
とにかく時間が惜しいのでねえ、
今日は倒した者勝ちということで頼む。

[ルリアゲハ]
お駄賃つきの大掃除、
しかも手柄はみんなで取り合い、ってことね。

[ミリィ]
そんなら負けてらんないっすね!
あたし、こないだ全財産はたいてるんで!

[ゼラード]
こっちも長え病院生活で借金がたまってるんだ。
ここいらでボーナスもらっとくとするか。

〈メアレス〉たちは、それぞれの得物を携え、
屋根の上の〈ボンノウン〉へ向かっていく。

〈ボンノウン〉も、こちらの接近を感知して、
即座に牙を剥いてきた。

[ゼラード]
稼がせてもらうぜ!

[リフィル]
下天ボンバー!

細い雷条が走った。
ゼラードの目の前にいた〈ボンノウン〉が、
その直撃を受けて消滅する。

[〈ボンノウン〉]
ぎょわー。

[〈ボンノウン〉]
んぎゃー。

[ゼラード]
あ、こら〈黄昏(サンセット)〉てめえ!

[リフィル]
倒した者勝ちでしょ。うかうかしないことね。

[ゼラード]
つうか何だ今の適当な魔法!

[リフィル]
省略詠唱よ。リピュアの魔法を参考にしてね。
最低限の意味的拠り所を維持できるフレーズに
ノリと勢いを掛け合わせて発動させた。

[リフィル]
我ながら、なかなかの高等技術よ。
〈ロストメア〉には通じないだろうけど、
この程度の連中ならちょうどいい威力ね。

[ゼラード]
魔法ってわかんねえー……。

げんなりとうめいてから、
ゼラードは、別の方向に駆け出していく。

[ゼラード]
しゃあねえ。
なら、邪魔されるより早く仕留めて──

[リフィル]
八十葉ドーン!

ゼラードの行く先に雷光の檻が立ち上がり、
〈ボンノウン〉をまとめて薙ぎ倒した。

[〈ボンノウン〉]
にょぎゃー。

[〈ボンノウン〉]
しびびびびび……。

[ゼラード]
おまえな!!!

[リフィル]
やるからには勝つ。そういうものでしょ。

[〈ボンノウン〉]
おとなげないねー。

[〈ボンノウン〉]
ねー。

[リフィル]
降り荒べ。

[〈ボンノウン〉]
ぎゃー。

[ルリアゲハ]
まったく、忙しないこと!

ルリアゲハは次々に銃弾を叩き込む。
弾丸を受けた〈ボンノウン〉たちは、
ぼこん、べこん、と跳ね飛ばされ消滅していく。

[〈ボンノウン〉]
女の子が、好きだッ!!

[リフィル]
いま何か踏んだ?

[〈ボンノウン〉]
ケダモノォ……。

大した相手ではないが、とにかく数が多い。
リフィルとルリアゲハは、互いの死角を
カバーするため背中合わせに構えた。

[ルリアゲハ]
まさかこの都市、こんなものまで出るなんてね。
今度、あの子に教えてあげなくちゃ。

[リフィル]
そうね。
私も、たまには実家の両親に手紙を出そうかしら。

何気ない一言に、ルリアゲハの動きが止まる。

[ルリアゲハ]
……え? あれ? リフィルさん?
ご両親と、その……仲、悪いんじゃないの?

[リフィル]
そんなこと言った?

[ルリアゲハ]
言われちゃあいないけど……。

娘を"代替物(リフィル)"と呼ぶ両親だ。
まさか仲がいいはずはないだろうと思っていたが。

[ルリアゲハ]
(あー、でも……それは、
しょせんあたしの尺度か)

世の中は広い。
自分の常識だけで語れるものではないのだ。
肝に銘じていても、ついつい忘れがちになるが。

[ミリィ]
もうけっこーやっつけましたけど、
まだまだぜんぜん、うじゃうじゃもりもりっすね!

[コピシュ]
でも年明けまでには終わらせないと、
ゆっくり花火が見られなくなっちゃいます!

雲霞のごとく押し寄せてくる〈ボンノウン〉らを
前に、リフィルが勇ましい笑みを浮かべた。

[リフィル]
こういう相手には、どうするんだったかしら?
ルリアゲハ!

[ルリアゲハ]
そりゃあもちろん──

[ふたり]
数撃ちゃ当たるの理屈で攻めるッ!

ルリアゲハも同じ微笑みを返し、
そっと銃の撃鉄に繊手を添えた。

[ルリアゲハ]
そういうわけで、派手に行くわよ。

[ルリアゲハ]
ファニング横薙ぎ、〈厄墜とし〉! ってね!!

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謹賀新年2017 リフィル&ルリアゲハ編 〜 回想メアレス

←年末メアレス

ルリアゲハ.jpg

[ルリアゲハ]
魔道士……
この都市って、そんなのまでいるの?

アフリト.jpg

[アフリト]
なにせ、夢と現実の狭間にある都市だ。
そのくらいで驚いていては、身が保たんぞ。

[ルリアゲハ]
肝に銘じておくわ。

[ルリアゲハ]
で──〈ロストメア〉ってのを狩ればいいのよね。

[アフリト]
然様。腕に覚えはあるようだな。

[ルリアゲハ]
まあね……っていうより、
それしか取柄がないのよ、あたし。

だから、妹に夢を預けることになった。
国と民を守るという夢を。

国を出て、世界を旅した。
あてのある旅ではなかった。
自分がどうすればいいのかもわからなかった。

国を守る。ずっとそのためだけに生きてきた。
その目標を失った今、なすべきことも、
なさねばならぬことも見いだせなかった。

錨を失った船のように、ただ流れた。

世間知らずが災いし、何度か痛い目を見もした。
鍛え抜いた武の技でどうにか切り抜けてきたが、
自分の考えの甘さが、ほとほと嫌になった。

そんなとき、この都市の噂を聞いた。
夢と現実のはざまにある都市。
夢のない戦士を求めているという──

[ルリアゲハ]
(〈メアレス〉……〈夢見ざる者〉)

まさに、今の自分だ。

それが求められているというのなら、
少なくとも、他のどこに行くよりも
マシなのではないかと思った。

目標も居場所もなく、たださまよう。

その生き方に耐えられるほど
自分が強くないことは、
とっくに骨身に沁みていた。

  ◆  ◆  ◆

[リフィル]
墜とせッ、〈墜ち星(ガンダウナー)〉ッ!

[ルリアゲハ]
仰せのままに、っと!

黄昏に染まる屋根の上を駆け、
ルリアゲハは眼前の敵に銃撃を見舞った。

ファニング6連。国を出てから磨いた技だ。
6発の銃弾のうち3発までが
〈ロストメア〉を直撃し、よろめかせた。

リフィル.jpg

[リフィル]
馳せ来れ、咆哮遥けき地雷!

そこへ、リフィルの放つ魔法の雷撃が直撃──
〈見果てぬ夢〉は悲鳴を上げ、
魔力と化して砕け散った。

[ルリアゲハ]
一丁上がりね。

[リフィル]
契約通り、魔力はもらう。

[ルリアゲハ]
お好きにどうぞ。

リフィルが糸を繰ると、
砕けた魔力が引き寄せられ、
彼女の足元の魔方陣に吸い込まれていく。

[ルリアゲハ]
そこそこ大物だったわね。
どう、〈黄昏(サンセット)〉。
たまにはパーッと打ち上げでも。

[リフィル]
刹那的な享楽に使う金はない。

[ルリアゲハ]
ちょっとくらい、いいじゃない。
魔力、相当貯めてるんでしょ?

〈ロストメア〉撃破の報奨金はルリアゲハが、
奴らを倒して得られる魔力はリフィルが得る。
ふたりは、そういう契約を結んでいる。

だからリフィルは、万年金欠状態だ。
備蓄している魔力のうち、わずかばかりを
魔匠具開発企業に売って、生活を維持している。

[リフィル]
この世に魔法の存在を示し続ける。
それが私の役目よ。

魔力の吸収を終えたリフィルが、
じろりとこちらに視線を投げてくる。

[リフィル]
"備蓄"は多ければ多いほどいい。
魔力が足りなくて魔法が使えない、なんて事態は
万が一にも避けなければならないから。

[ルリアゲハ]
だったら、あたしがおごったげよっか。

[リフィル]
フェアじゃない。

言い捨てて、リフィルは歩き去っていく。

[ルリアゲハ]
……はあ。

ルリアゲハの重い嘆息は、
煙突から上がる煙にまぎれていった。

  *  *  *

[ルリアゲハ]
……って感じなのよ。

[ルリアゲハ]
なつく気配のない野良猫に
猫じゃらしを差し出してる気分だわ。

〈メアレス〉行きつけの定食屋──
〈巡る幸い〉亭。

そのカウンターで、相当に薄めた酒をちびちびと
やりながら、ルリアゲハは嘆息する。

ラギト2.jpg

[ラギト]
誰に対してもあんなものだ、彼女は。

隣の席に座ったラギトが、肩をすくめた。

[ラギト]
目的が、かちりと定まっている。
だから揺るぎなく、強い。

[ルリアゲハ]
そうね。確かに強いわ。でも──

ルリアゲハは宙を見つめ、ぽつりとつぶやく。

[ルリアゲハ]
なんか、危なっかしいのよね。

[ラギト]
心配なんだな。

[ルリアゲハ]
放っとけないの。性分かもね。
あたし、昔っから妹の面倒とか見てたし。

[ルリアゲハ]
ウチの妹は、あんなにぐいぐい
前に出るタイプじゃなかったけど。

だからかもしれない。
ほんのり酒の回り始めた頭で、ふと思う。

状況に流される日々を送りながら、
どこかで求めていたのかもしれない。
自分に道を示してくれる存在を。

世界最後の魔道士たるという使命を背負い、
揺るぎない強さで戦い続ける黄昏の少女。

彼女とともにいる限り、少なくとも、
手持無沙汰な日々とは無縁でいられる。

[ラギト]
あんたは好かれていると思うがな。

だしぬけに、ラギトが言った。

ルリアゲハは、一瞬きょとんとしてから、
うかがうように隣の少年の横顔を見やる。

[ルリアゲハ]
根拠。訊いてもよくて?

[ラギト]
あんたたちはコンビをやってる。

[ラギト]
孤高を貫いていたあの〈黄昏(サンセット)〉が、
認めたんだ。あんたを──
背を預けるに足る相手だとな。

少年は、
若さに見合わぬ鷹揚な笑みを浮かべてみせた。

[ラギト]
それが根拠じゃ足りないのか?
〈墜ち星(ガンダウナー)〉。

  ◆  ◆  ◆

[ルリアゲハ]
弾もタダじゃないんだけど!

ルリアゲハたちは、敵に囲まれていた。

〈悪夢のかけら〉──〈ロストメア〉が生み出す
分身たち。十数という数のそれらが、
ルリアゲハとリフィルを包囲している。

〈ロストメア〉を追って通りに出たら、これだ。
初歩的な戦術に引っかかった自分が情けない。
相手をただの怪物と侮りすぎていた。

[リフィル]
本体がどこかに隠れている!
探し出して仕留めるぞ、ルリアゲハ!

危地にあろうと、リフィルは変わらず揺るぎない。
ルリアゲハより一回り近く年下ながら、
その肝はあまりにも据わりすぎている。

舌を巻いている余裕はなかった。
次々に飛びかかってくる〈かけら〉をかわし、
反撃の銃弾を撃ち込んでいく。

リフィルも詠唱の短い魔法を駆使して戦っている。

ふとその背後に影が躍るのが見えた。

[ルリアゲハ]
〈黄昏(サンセット)〉、後ろ!

[リフィル]
──っ!?

[???]
はあっ!

銀の光が閃いた。

翳りひとつない、見事な太刀筋。
長剣の一閃が、リフィルの背後に迫った
〈ロストメア〉を瞬時に両断、霧散させていた。

同時に、〈ロストメア〉を生み出していた
〈かけら〉たちも、まとめて塵と散っていく。

ゼラード.jpg

[???]
噂の魔道士も、不意打ちにゃ弱いってか。

現れた男は、長剣を鞘に納め、ニヤリと笑った。

[ルリアゲハ]
あなたも〈メアレス〉……って、
聞くまでもないわね。

[ゼラード]
ゼラードだ。
〈徹剣(エッジワース)〉で通ってる。
〈メアレス〉暦は、まだ二月ってとこだ。

[リフィル]
人の獲物を横取りするのが、
新入りのジンクスみたいね。

[ゼラード]
命を救ってやったんだ。少しは感謝してほしいね。

[リフィル]
こちらが救ってあげたのよ。
奴を魔法で迎撃していたら、
あなたを巻き込むところだった。

[ゼラード]
そりゃどうも。

リフィルは、ふいっと顔を背け、
憤懣に満ちた足取りで、その場を後にした。

取り残されたルリアゲハはゼラードを振り向き、
両手を合わせて謝辞を示した。

[ルリアゲハ]
ごめんなさいね、〈徹剣(エッジワース)〉。
あの子、あなたに怒ってるんじゃないの。
自分の油断が許せなかったのね。

[ゼラード]
意地っ張りのガキの言うこった。
別に気にしちゃいねえよ。

[ゼラード]
しかし、よくあんなのとつるんでるな。
気難しいガキに頭ごなしに命令されるなんざ、
俺ならごめんだ。

[ルリアゲハ]
懐の広い女なのよ、あたし。

実際、別に嫌ではなかった。

言い方が苛烈なだけで、リフィルにとっては
"命令"ではなく純粋な"呼びかけ"に近い感覚
なのだろう、というのがわかるからでもある。

[ゼラード]
それはそうと──
おまえさん、剣を使うな。

[ルリアゲハ]
あら。よくお気づきで。

[ゼラード]
銃使いにしちゃ、足の運び方がな。

あっさりと言う。
先の太刀筋でもわかっていたことだが、
この男、並みの剣士ではない。

[ゼラード]
10年。いや、もっとか。
剣が身体に沁みついてる。
相当な腕と見たがね。なんで使わん?

[ルリアゲハ]
剣は捨てたの。
もう、そういう時代じゃないしね。

気を悪くするかと思いきや、
ゼラードは皮肉げに笑うだけだった。

[ゼラード]
違えねえ。
時代遅れの身としちゃ、耳が痛いぜ。

[ゼラード]
だが、俺ァ不器用な男でよ。
わかっていても捨てられねえ。
俺が死ぬときゃ、こいつで死ぬさ。

言って、身をひるがえす。

[ルリアゲハ]
剣とともに生き、剣とともに死ぬ……か。

その背を見つめ、ルリアゲハはつぶやいた。

自分に、そこまでの覚悟はなかった。

剣も武も、国と民を守るための手段だった。
だから、国と民を守るという目的が消えた今、
それを手放すことに抵抗はなかった。

いや──
捨てなければ変われないような気がして、
捨てずにはいられなかった。

だからこそ、自身を不器用と評する男の背中が、
今のルリアゲハには、ひどくまぶしかった。

[ルリアゲハ]
うらやましいわね。ああいう強さは。

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ラベル:謹賀新年2017
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謹賀新年2017 リフィル&ルリアゲハ編 〜 年末メアレス

この年、最後の黄昏が終わりを迎えつつあった。

この時刻にしては珍しく、
通りには多くの市民の姿がある。

年明けの瞬間を祝うためだ。

誰も彼も、どこか浮ついた足取りで、
ここぞとばかり華やかに着飾っている。

そのなかにあって、エキゾチックな異国の衣に
身を包んだルリアゲハとリフィルは、
道ゆく人々の注目を大いに集めていた。

ルリアゲハ.jpg

[ルリアゲハ]
思った以上に注目の的ね。

リフィル.jpg

[リフィル]
ここじゃ、こんな装いは見かけないもの。

リフィルは、着慣れない着物の袖を持ち上げた。

[リフィル]
衣装のことはよくわからないけど……
この織り、高いんじゃないの? ルリアゲハ。

[ルリアゲハ]
ウチの国でも上の上ってトコよ。
なにせ、あの子が見繕ってくれたんだもの。

[リフィル]
後で代金を請求されたりしないでしょうね。

[ルリアゲハ]
心配しないの。
そんなケチくさい子じゃなくてよ、ウチの妹は。

リピュア.jpg

[リピュア]
いいなあ〜。私も着たかったー。

ルリアゲハは苦笑して、
口を尖らせる妖精少女の頭を撫でる。

[ルリアゲハ]
ごめんね、リピュア。
あの子がこんなの用意してくれるなんて、
あたしも知らなかったの。

[リフィル]
例の短刀といい、この着物といい、
惜しげもなく送ってくるものね。

さらりと言ったリフィルが、
意味深な視線を向けてくる。

[リフィル]
待っていたんじゃないの?
あなたが手紙を寄越してくるのを。

[ルリアゲハ]
……かもね。
もっと早く連絡取ってりゃ良かったわ。

なんとなく、腰に差した短刀の柄を撫でる。

秘刀〈孤蝶丸〉。
姫であった頃、ルリアゲハが
護身用に持ち歩いていた短刀だ。

鍔はなく、鞘に特殊な細工を施してある。
昔、片手抜刀に凝っていた頃の名残だ。
腰のひねりと合わせれば左手だけで抜き撃てる。

無論、それでは威力も間合いもたかが知れている。
だが、住を主体とする戦術に組み込むなら、
むしろその取り回しの良さは都合がいい。

こちらが何を言ったわけでもないのに、
そこまで考えて、この刀を送ってきた。

リフィルの言うとおり、
こちらからの連絡を待っていたのかもしれない。
そう思えるほどの手際の良さだった。

[ルリアゲハ]
(ほんと、良くできた子だわ)

誇らしさを胸に、
ルリアゲハはリフィルとリピュアへ微笑みかけた。

[ルリアゲハ]
さて、それじゃ、門に初詣と参りましょうか!

  ◆  ◆  ◆

門に向かっていると、
途中で他の〈メアレス〉たちに遭遇した。

レッジ.jpg

[レッジ]
珍しいな。そろって異国の装いか。

ミリィ.jpg

[ミリィ]
おっ、いいセンスしてる!

[ルリアゲハ]
あら、どうも。ふたりも門で年越し?

[レッジ]
花火の打ち上げなんかをやるらしくてな。
いちおう管理者として、立ち合わねばならん。

[ミリィ]
あたしはフツーにヒマだったんで!
今年はもう〈メアレス〉の仕事も終わりだし。

[リフィル]
考えてみると不思議なものね。
年越しを祝うというのは。
年が明けたって何が変わるわけでもないのに。

[ミリィ]
雰囲気っすよ、雰囲気!
みんなで祝うの、楽しいじゃないすか!

[レッジ]
祝祭は、同じ文化圏に属する者同士の結束を強め、
帰属意識を高めるにあたって非常に重要な儀礼だ。

[レッジ]
めでたいから祝うというより、
みんなで祝うことがめでたいんだ。
そう考えれば、魔道士としては納得しやすいだろ。

[リフィル]
なるほど……そうね。
心の足並みをそろえるための儀式か。
確かに、魔法にも通じるところがある。

リフィルがうなずいていると、
小柄な影が駆けよってきた。

コピシュ.jpg

[コピシュ]
こんばんは、みなさん!
今年はどうもお世話になりました!

[ルリアゲハ]
いえいえ、こちらこそ。

[リフィル]
そうね。
コピシュの剣には、いろいろと助けてもらったわ。

はにかむように笑ってから、
コピシュが、あ、と気づいた。

[コピシュ]
リフィルさんとルリアゲハさんは、
おそろいなんですね。

[ルリアゲハ]
そうよ。妹が贈ってくれたの。

[コピシュ]
きれいな衣装ですね!
わたしも、いつか着てみたいです。

[リピュア]
じゃ、私が魔法で作ってあげる!
マゴノテマゴノテ……。

[レッジ]
待て、また変なことを──

[リピュア]
サルノーテ!

レッジ2.jpg

[レッジ]
…………。

[レッジ]
なにが なんでだ!!

[リフィル]
ところで、コピシュ。
ゼラードはいっしょじゃないの?

[コピシュ]
お父さんなら、
あっちでラギトさんとお話ししてます。

[ミリィ]
おっ、そんなら、
まとめてあいさつに行きましょう!

[ルリアゲハ]
そうね。どうせ門の方角だし。

  ◆  ◆  ◆

年越しの祝祭に参加するべく、
門の前に多くの市民が集まっている。

そのなかにラギトとゼラードの姿を認めて、
リフィルたちは歩み寄っていった。

ゼラード.jpg

[ゼラード]
よう、おまえら。
へえ、面白えカッコしてんじゃねえか。

ラギト3.jpg

[ラギト]
そこは"似合っている"と
言うところじゃないのか、
人生の先達殿。

[リフィル]
大丈夫よ。〈徹剣(エッジワース)〉に
剣以外の期待はしてないから。

[コピシュ]
お父さん。

[ゼラード]
……すんませんした。

[ミリィ]
いや〜、でもやっぱ、
リフィルさんがこういうカッコしてると、
新鮮ですよねー。

[リフィル]
そうね。
私も、アストルムの正装以外で
外出するのは久しぶりな気がする。

[ミリィ]
えっ、アレそんなんだったんすか!?

[リフィル]
正確には"リフィル"の正装ね。
魔法を使うにあたっての儀礼的な衣装として、
代々、あれを着ることになってる。

[レッジ]
まさかとは思うが……男でもか?

ふと、ラギトが談笑の輪から外れ、
ふらりとルリアゲハの横に来た。

[ラギト]
変わったもんだな、〈黄昏(サンセット)〉も。

[ルリアゲハ]
そうね。あの子自身も言っていたけど、
自分以外の魔道士に会ったっていうのが、
やっぱり大きかったみたい。

[ラギト]
彼女にとって
大きな刺激だったのはまちがいないな。

[ラギト]
心も身体も、一度固まってしまうと、
なかなかほぐしにくいものだ。
今は、いい具合にほぐれている。

[ラギト]
……ほぐれすぎて、
こちらの予想を超えてくることも増えた。

[ルリアゲハ]
膝枕とかね。

[ラギト]
なんで知ってる。

[ルリアゲハ]
うふん。

ラギトは、なんとも言えない表情で、
ルリアゲハの送るウィンクをかわした。

[ルリアゲハ]
(ま、でも……実際そうよね)

[ルリアゲハ]
(初めて会った頃に比べたら、
ずいぶん変わったものだわ)

[ルリアゲハ]
(あの子も……それに、あたしもね)

回想メアレス→

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ラベル:謹賀新年2017
posted by yamanuko at 23:44| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

蒼炎颶風の鎌鼬 風斬り キュウマ

和ノ国に、とある異能の者たちがいた。
人に害成す「鬼」を斬り、青い風と共に消えてゆく。
その者達は、その使い魔ゆえにこう呼ばれていた。
「鎌鼬」と。

夏も盛りを超えた、月の明るい夜のことであった。
人里に鬼が出たという報せを受け、キュウマは大鎌を担いで風に乗った。
「嫌な予感がするぜ、相棒」
「お前はいつもそう言うじゃないか、フウチ」
フウチと呼ばれた肩に乗る使い魔は、鼻をすんすんと鳴らし風のにおいを嗅ぐ。
「今日は冥府だって休みのはずだろ。うちの里だって祭りの最中だってのに……」
「こういう時のための廻番だ。今日はたまたま運が悪かったのさ」
祭りの喧騒に後ろ髪を惹かれながら、キュウマは風を斬って飛ぶ。

──たまたま運が悪かったのさ。

彼は、その言葉だけでは片付けられないことを、数刻後に知ることとなる。
報せを受けた人里には、果たして誰もいなかったのだ。

「相棒、こいつぁ……こいつぁどういう事なんだ!?」
「……わからん。この報せを届けたのは誰だ?」
キュウマは考える。考えてはならないと思いながら。
人里に鬼が出た、とキュウマに伝えたのは誰だったか。
祭りの日、唯一大鎌を持つことを許される、廻番のキュウマを追い出したのは。
「誰だった?」
キュウマの体に、青い火が浮かぶ。抑え切れない怒りが、形を成す。
「たしか、赤火の──」

フウチがその名を口に出そうとした時だった。
山向こうに、キュウマの里の方向に、赤い、赤い火が見える。
「キュウマ! 里が、里が……!」
「わかってる」
慌てるフウチをたしなめて、キュウマはゆっくりと歩き出す。
その方向──朽ちた家屋の折れた柱に、真新しい手紙が打ち付けられていたのだ。
震える指で、キュウマはそれを千切り取る。

『通う血と 同じ鬼火のあかよろし
赤い蝶舞う 青きふるさと』

手にした手紙は、キュウマの炎で灰も残らず消えていく。
彼はこの時決めたのだ。
赤火の裏切り者を切ると。
どこまでも、追いかけてやると。

「相棒、今日はどこに行くよ。もう和ノ国は探し尽くしちまったぜ」
「……わからん。だが、どこか遠い世界にいるやもしれん」
キュウマは大鎌をかつぎ風に乗る。
風の吹くまま気の向くまま、赤火の仇を追い求め……
はてさて、キュウマの旅は、いずこへ続く。

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ラベル:謹賀新年2017
posted by yamanuko at 23:39| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

謹賀新年2017 〜 目次

リフィル&ルリアゲハ編 〜 年末メアレス
リフィル&ルリアゲハ編 〜 回想メアレス
リフィル&ルリアゲハ編 〜 正月reckless

ツクヨ編 〜 神も忙しき時節
ツクヨ編 〜 繁盛、繁盛、波乱万丈
ツクヨ編 〜 年を越えて、願う

ファム&フェルチ編 〜 おせちってなんですか?
ファム&フェルチ編 〜 早速、作ってみましょう!
ファム&フェルチ編 〜 出来ました〜!試食会です

イーニア編 〜 掌の上で踊る会議
イーニア編 〜 イーニアの決意
イーニア編 〜 最初で最後の怪獣退治

アーデ&メモリア編 〜 罰によって引き裂かれる
アーデ&メモリア編 〜 怪盗アーデ
アーデ&メモリア編 〜 初日の出に照らされて

キュウマ編 〜 それを「鎌鼬」という
キュウマ編 〜 「赤火」
キュウマ編 〜 鬼斬りキュウマの大一番

<関連ストーリー>

(リフィル&ルリアゲハ)
黄昏メアレス
黒ウィズGP2016 〜 瑠璃の時雨の降りしきる
黄昏メアレスU 残響dearless

(ツクヨ)
八百万神秘譚2 れえすの行方は神のみぞ知る
八百万Z -YAOYORO Z-

(ファム&フェルチ)
天上岬 〜とこしえの姫君〜
天上岬の調香師 〜しあわせのラストノート〜
白猫の仲間と冒険にゃ!

(イーニア)
続超魔道列伝アルティメットサマーガールズ!
Christmas stories 2016 〜 リルム編

(アーデ&メモリア)
追憶のレディアント

(キュウマ)
蒼炎颶風の鎌鼬 風斬り キュウマ
陰と陽を司る者 トウマ・アマノ
神切の式紙師 キリエ・ユウテンジ
闇夜の閃斬/聖夜に瞬く斬煌 ツバキ・リンドウ
紅赤に彩る恋花 ツバキ・リンドウ
暁の雪月花 ハヅキ・ユメガタリ
賀正の花喧嘩 ハヅキ・ユメガタリ
二輪の銀閃花 ツバキ&ハヅキ
暁の千鬼夜行 ミオ・ツヅラオリ

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ラベル:謹賀新年2017
posted by yamanuko at 23:37| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

その光は淡く碧く 〜 第二章 儚き聖域 覇級:折れた剣

←絶級:絶海に浮かぶ魔宮

レブンを倒した直後、
テオドールは猛烈なめまいと、
肉体の疲弊を感じていた。

[テオドール]
(レブンの領域に
閉じ込められていた時間が
長すぎたか……)

あのまま永久凍土の領域に
閉じ込められ──

生きたまま、氷付けになっていても
おかしくなかった。

シャロンのお陰でなんとか
勝ちを拾うことが出来たとはいえ──

勝利の代償は、決して小さいものではなかった。

突如、屋敷の気配が一変する。

不穏な気配が辺りを取り囲み、
魔力ではない別の力の働きを感じた。

[テオドール]
招待を現しましたね? サクシード。

部屋の最奥で、
サクシードは堂々と待ち構えていた。

[サクシード]
歴代皇帝が嘆き、
あなたには聞こえないのかしら?

背中から生えた翼。

それはシャロンが持つ
皇帝の証と同様のものだった。

[サクシード]
皇位は本来、私が手にすべきものだったわ。
どこぞの誰かが、しゃしゃり出なければ!

シャロンのことを言っているのだろう。

テオドールは、表情を動かさずに
サクシードに問う。

[テオドール]
皇位継承権は、あなたにもあった……。
ですが、シャロン様に奪われたと、
そう仰るのですか?

[サクシード]
そうよ。私の背中にある翼が、その証。

[サクシード]
それに──歴代皇帝の霊も、
私こそが皇帝にふさわしいと告げているわ。

サクシードの周囲に浮かぶ無数の気配。

それが、歴代皇帝の霊であると彼女は言う。

[テオドール]
過去に死んだものの魂に
従うのですか、あなたは?

[テオドール]
それは魂の形をした
別のものにすぎないのに……。
愚かな……。

[サクシード]
私の皇帝の力を見せてやろう。
そうすれば、お前も私を認めざるを得ないはず。

翼が、白い小さな羽根を
巻き上げながらはためいた。

[テオドール]
ぐっ──

見えない衝撃のようなものを食らって、
テオドールは後方に吹き飛ばされた。

倒れたテオドールの周囲を漂う亡霊たちの
あざけり笑う声が聞こえる。

[サクシード]
霊たちも、私を祝福してくれているわ!

亡霊たちと声を重ねるように、
サクシードは高らかに笑った。

[サクシード]
テオドール! 古い皇帝は捨てて
新しい皇帝の剣になりなさい!

[テオドール]
……お断りです。

[サクシード]
そんなに、シャロンがいいの?
力がなく……泣き叫ぶことしかできない
あの女など、皇帝の器ではないというのに!

[テオドール]
あなたは知らないのですね。
皇帝に必要なのは、器などではないのだと……。

[サクシード]
ほう? では、なんだと言うの?

[テオドール]
皇帝とは、
万人にあまねく慈愛を与えることが
できる者のことです。

[サクシード]
他者を陥れて帝位を簒奪しようと
目論むあなたには、他者に愛を
与えることなどできない。

またしても、テオドールは全身が
粉々になりそうなほどの衝撃波を食らった。

[テオドール]
(皇帝と同等の力を持つ
あの翼は厄介だ。
これでは、近づくことすらできない……)

[テオドール]
(どうする……?)

その時、後方より接近する者の気配を感じた。

[ミー]
ライオット様! こちらです!

地面に倒れ付すテオドールに、
近づき、手を差し伸べる者がいる。

[ライオット]
手助けが必要なようだな?

[サクシード]
ライオット!?
お前は、テオドールに味方するつもりか!?

[ライオット]
さあ、どうかな。

[サクシード]
打算的なあなたなら、
どちらが皇帝にふさわしいのか、
わかるでしょ?

[サクシード]
シャロンのような小娘よりも、
私の方が皇帝にふさわしい……
お前もそう思うでしょ!?

[ライオット]
俺には、誰が皇帝にふさわしいのか
なんてわからない。

[ライオット]
それに実は……。
誰が皇帝になろうと、あまり興味ないんだ。

[サクシード]
嘘をつくな!

[ライオット]
俺は、ただ惚れた人を
泣かせなくないからここに来た。

そう言って、ライオットはテオドールに
手を伸ばした。

[ライオット]
立てるか?
お前が、帰らないとシャロン陛下が嘆き悲しむ。

[ライオット]
俺は、あのお方に
いつも笑っていて欲しいんだ。

[テオドール]
ふっ……それは、私も同じ気持ちです。

手を取って、テオドールは立ち上がる。

[サクシード]
くそっ! どいつもこいつも、
あの女の味方をする!

[サクシード]
こんな世は間違っている!
私が皇帝になって、
すべて作り替えてやるわ!

  ◆  ◆  ◆

(クリア後)

テオドールの剣が、氷刃となって一閃煌めく。

[サクシード]
ぐあっ……。そ、そんな……。
私は……皇帝の力を
有しているはずなのに……。

もんどり打って倒れ伏したサクシード。

足掻くように両手でなにもない
虚空をつかもうとする。

[テオドール]
皇帝の力? あの程度、
どこにでもある普通の力です。

[テオドール]
諦めなさい。あなたは、皇帝などではない。
なにもかも……シャロン様の
足下にも及ばない。

[サクシード]
歴代の皇帝たちの霊よ……。
私に力をお与えください……。

[サクシード]
世を正す、正当な皇帝として
立ち上がる力をどうか……私に……。

しかし、亡霊たちは、
嬌笑をまき散らすだけで、
なにもしようとはしない。

[サクシード]
そんな……どうして?

[ライオット]
お前が頼りにしている亡霊たちは、
歴代皇帝の霊なんかじゃない。

[ライオット]
なんの力も持たないただの悪霊だ。
生きている者をそそのかして、
楽しんでいるだけだ。

[サクシード]
ああ、なんてことだ。
……私は、欺されていたのか。

[ライオット]
そんなことにすら気付かなかったのか?
愚かな奴だ。

サクシードは力を失ったように、
がっくりとうなだれた。

もう立ち上がる気力も残っていないようだ。

[ライオット]
テオドール殿。サクシードのことは、
俺に任せてくれ。

[ライオット]
反逆者とはいえ、腐っても皇族だ。
ちゃんとした処分を受けさせてやりたい。

テオドールの方を振り返って同意を求める。

[テオドール]
……私は、シャロン様の剣。
皇族を裁く権利などありません。

[ライオット]
感謝する。

  *  *  *

宮廷に戻ったライオットとテオドール。

さっそくシャロンに対面し、
今回の事件は、すべて収束したことを告げる。

[シャロン]
ご苦労様でした、テオドール。

久しぶりに目にする、
柔らかなシャロンの表情。

その笑顔で、テオドールは
すべて報われたような気になる。

[テオドール]
剣としての役目、
無事果たせたことに安堵しております。

[シャロン]
ケルタ卿も、ご苦労でした。
サクシードの反乱を防いでくれたこと
感謝に堪えません。

[ライオット]
陛下をお支えするはずの皇族の中から、
反逆者を出してしまったのは、
同じ皇族として恥ずべきこと。

[ライオット]
以後、このようなことがないよう、
綱紀の乱れを正していきたいと思います。

[シャロン]
期待しております。

シャロンは、以前より打ち解けた表情を
ライオットに向けていた。

今回の件を通して、ライオットへの信頼が
より深まったのだろう。

[テオドール]
(よかった……。ライオット様が、
シャロン様の味方をしてくださるのなら
今回のようなことは、もう二度と……)

突然、テオドールは胸に違和感を覚えた。

[テオドール]
(うっ……これは……?)

針で刺されたような痛みが続き、
そして、全身から汗が噴き出す。

[テオドール]
(少し、無理をしすぎたか……。
しかし、ここで倒れるわけには……)

視界が、黒に染まっていく。

テオドールの様子に気付いたシャロンが、
名前を叫んでいる。

しかし、その声も……
テオドールの耳には届かない。

[テオドール]
シャロン様がご健在なのに、
お守りするはずの剣が折れてしまっては、
元も子もない。

[テオドール]
万が一、私の再起が叶わないようであれば……。

シャロンの手を取った。
手の甲に、シャロンの涙が雫となって
こぼれ落ちる。

[テオドール]
シャロン様……どうかお気遣いなく、
新しい剣をお選びになってください。

[テオドール]
私の願いはただひとつ。
……シャロン様が、いつまでもご健勝で
あられることです。

そう言ってテオドールは、意識を失った。

シャロンの悲痛な叫びが、
部屋中に満ちた。

…………

ED.jpg

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その光は淡く碧く 〜 第二章 儚き聖域 絶級:絶海に浮かぶ魔宮

←封魔級:若き皇帝

皇の剣として、
サクシードの行いは見過ごせない。

皇帝のいない舞踏会の開催は、
宮廷の乗っ取りであり、
明確な反逆だった。

そして……敵は、正面から武器を持って
シャロンに襲い掛ってくる者たちだけでは
ないことを今回の件でよく理解できた。

[テオドール]
ケリをつけなければいけません。

皇の剣としてシャロンに敵意を持つものは
見過ごせない。

反乱の芽は、すべて摘み取って
おかなければ──

[シャロン]
わたしは……テオにそばにいて欲しい。
危険な所には、行かないで欲しい。

[テオドール]
シャロン様のお気持ちは、
ありがたいのですが……。

[シャロン]
ええ、わかっております。
テオは、皇の剣。
あなたが、守るのはわたし個人だけでなく──

[シャロン]
これまで連綿と紡がれてきた
皇帝の歴史と世の安寧です。
わたしが、もっと皇帝として強かったなら……。

[テオドール]
それ以上、仰らないでください。
シャロン様、私は必ず戻ってきます。

[シャロン]
絶対……絶対ですよ?

すがるようにシャロンは、
抱擁を求めた。

しかし、テオドールは一歩身を引き、
若い皇帝の手に優しく触れるだけに留めた。

[テオドール]
行って参ります。
帰ってきた時は、
笑顔で私を迎えてください。

  *  *  *

宮廷から離れた絶海。
ぽっかり浮かぶ
孤島の中にその屋敷はあった。

そこは、過去に存在した皇帝が、
離宮として使っていた場所だった。

サクシードは、
今は誰も住んでいないその建物を
自分の屋敷として占有していた。

[テオドール]
不気味な屋敷だ。
部屋の内装は、
心の中を映し出したものと聞くが……。

足音を忍ばせて、テオドールは進んでいく。

この先にサクシードがいる。

彼女の剣であるレブンも、
当然待ち構えているだろう。

そしてレブンは、
テオドールとの決着を望んでいる……。

[ミー]
テオ様。背後の警戒はお任せください。
なにかあったら、私の髪が
直ぐに察知しますので!

頼んでもいないのに付いてくるミー。

[テオドール]
気持ちはありがたいですが、
ここから先は危険ですよ?

[ミー]
……私がいては、ご迷惑ですか?

[テオドール]
迷惑ではありません。ただ……。
この戦いに、ライオット様とあなたは
無関係だ。

皇帝が、反逆者を誅するための戦い。
シャロンは、テオドールを剣として振ったのだ。

巻き込む者は、少ない方がいい……。

[ミー]
ライオット様には、お暇を頂いてきました。
私がいなくても、他の姉妹たちが
ライオット様をお支えするはずです。

[ミー]
今のテオ様をお支え出来るのは、
私しかいないと思っております。

[ミー]
ご迷惑でなければ、
どうかおそばにいさせてください。

……。

周囲の空気が冷たい。
テオドールは、即座に気配を察した。

[テオドール]
ミー、やはりあなたをそばには置けません。
戦いに巻き込むことになる──

ミーも直ぐに気付いた。

周囲の気温が、極度に低下していることに……。

[レブン]
ひとりで来たなら褒めてやったところだが、
女連れとはな。

[レブン]
女嫌いのはずの貴様が、
変わったな……。

[テオドール]
彼女は違います。
私が生涯をかけてお護りする女性は、
おひとりしかいません。

テオドールは、ミーにこの場から
立ち去るように促した。

[ミー]
(足手まといだと言うのなら……。
でも、どこにいてもテオ様のことは、
想っております)

音もなく立ち去るミー。
テオドールは、やや安心した様子で
振り返る。

[テオドール]
そういうレブンこそ、どうされたのです?
世俗にまみれるのは嫌だと、
あれほど言っていたのに。

[レブン]
テオドール、
貴様、護りたいものがあると言ったな?
当然、俺にもある。

[レブン]
それは、剣士としての誇りだ。
俺たちが生命を賭して磨いてきた
この剣が──

[レブン]
皇族連中の権力争いの
種にされるのは、我慢ならん。

[レブン]
ましてや皇族同士の争いに、
武人が口出しすることなど言語道断。

[レブン]
目を覚ませテオドール。
我らの剣を政争の具に貶めるな。
俺はお前を止めに来た。

剣に一途なレブン。
昔からそうだった。

シャロンの剣となる前のテオドールなら、
レブンの言葉に理解を示せただろう。

[テオドール]
……できれば戦いを避けたかったのですが、
どうやら無理なようですね。

[レブン]
そのようだ。

お互いに、間合いを取り、
剣の柄に手をかける。

[レブン]
いざっ……!

  ◆  ◆  ◆

(クリア後)

[シャロン]
(振るった剣は、
相手を傷つける。でも、同時に
剣そのものも、傷ついてしまう……)

[シャロン]
(無力なわたしには、こうしてテオの無事を
祈ることしかできない……)

[シャロン]
(もし、テオが受ける傷の一部を
わたしが身代わりに引き受ける
ことができれば……!)

[シャロン]
(どうか、テオにわたしの祈りが
届きますように……)

  *  *  *

重なり合う2本の剣は、
弾かれ合って、重たい金属音を周囲に響かせた。

絶零件の使い手ふたりが、
これまで磨き上げた
技と技をぶつけ合う。

剣が重なる度に、
凍結した水の結晶が粉々に砕け散り──

「氷界」が無数に誕生しては、消滅していく。

[レブン]
腕が落ちたなテオドール。
貴様には、失望したぞ?

絶零剣は、その名の通り、
気温が零度となる領域
──つまり、氷界を生み出す剣。

領域内に囚われたものは、
生命の息吹を根こそぎ奪われる。

[テオドール]
(右腕が……動かない。
足先も……大きな鉛のように重い……)

テオドールは、レブンの作り出した領域に
足を踏み入れていた。

[レブン]
絶零剣の使い手同士の戦いは、
いかに相手の間合いを殺し、
自分の間合いを広げるかだ。

[レブン]
腕を鈍らせた貴様の間合いに
踏み込むことに、なんの恐怖も
躊躇いもない!

[レブン]
そのまま死ぬがいい。
貴様を氷に閉じ込め、
その若さを永久に残してやる。

膝を突くテオドールを見下す。

テオドールの生み出した絶零剣の領域は、
ほとんど消滅し、
レブンの領域に飲み込まれていた。

この状況をひっくり返す手を
考えていた。

……。

領域をすべて失えば、
テオドールは絶対零度の檻から
二度と抜け出せない。

[テオドール]
(剣に感情を乗せるな──
そう教えてくれたのは、レブン。あなただ)

[テオドール]
(諦観──答えはきっと、その言葉にある)

[テオドール]
(こんなところで終われない。
私は、絶対にシャロン様の元に帰る!)

  [シャロン]
  (今……テオの声が
  聞こえたような気がしました)

  [シャロン]
  (いえ、今の声は間違いなくテオでした。
  とても苦しそうな声……)

  シャロンは、手を合わせて
  深い祈りに没頭する。

  [シャロン]
  (皇帝であるわたしが、
  個人のために祈りを捧げるのは……
  とても罪なこと)

  [シャロン]
  (ですが、わたしはテオの無事を祈りたいのです)

  [シャロン]
  (皇帝の清き祈りが、
  深く強い願いとなりて……)

  [シャロン]
  (光輝ける慈しみの翼を……
  彼に与えんことを……)

絶対零度の領域。
すべてを滅する永遠氷界。

その中で、もがき続けるテオドールだったが……。

万策つき、もはや打つ手なしと
絶望しかかっていた、その時──

[テオドール]
(これは……? 暖かい……)

うららかな陽光のようなぬくもりが、
テオドールの周囲に降り注いだ。

[テオドール]
(このぬくもりに、覚えがある。
私が最もよく知るあのお方が、
そばにいるよう──)

[テオドール]
(シャロン様。あなたなのですか?
私にぬくもりを届けてくれたのは……)

テオドールの四肢を
縛り付けていた絶零の領域を、
慈しみの翼が覆っていく。

  [シャロン]
  (テオ……あなたが、これまでわたしに
  くれた沢山のぬくもりや、思いやり……)

  [シャロン]
  (あなたが危機に陥っている今、
  少しでもお返しできたなら──)

[テオドール]
(シャロン様の慈しみの心の前では、
絶零の領域など無力)

凍り付いていたテオドールの四肢に
再び血が通い、気力が満ちた。

分厚く覆っていた絶対零度の壁が、
次々とシャロンの祈りによって
打ち砕かれていく。

[レブン]
どういうことだこれは!?
テオドール、貴様……なにをした!?

[テオドール]
私はなにもしてません。
これは、すべてあのお方の力です。

  [シャロン]
  (翼よ……。
  淡き聖域となりて、
  この世に願いを届けて──)

テオドールの剣が、目映い輝きを放つ。

それは、命を絶つ絶零剣の冷たさとは真逆の
──暖かな輝きだった。

[テオドール]
レブン……。私の剣は、
すでにシャロン様に捧げました。

[テオドール]
己の強さだけを追い求めるあなたとは、
違う強さを求めたいのです──

[レブン]
愚かな……。
利用されているだけと気付かずに……。

暖かな慈悲と、
冷酷な殺意を同時にまとったテオドールの剣。

最早、レブンの作り出す、
絶零の領域などでは捉えられない。

為す術なく、レブンの剣は弾き飛ばされ──
その瞬間、彼は敗北を認めた。

覇級:折れた剣→

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その光は淡く碧く 〜 第二章 儚き聖域 封魔級:若き皇帝

←上級:主役なき舞踏会

シャロンは舞踏会に出席することなく
自分の部屋の中で、テオドールの無事を
ひたすら祈っていた。

[シャロン]
(テオ……。やっぱりわたしは、
あなたがいないと歩くこともままならない)

やはり、テオドール以上に
頼れる者はいなかった。

[シャロン]
(テオが謂れなき罪を着せられて、
自由を奪われているのなら……)

[シャロン]
(わたしがテオを助けなきゃ……
皇帝であるわたしには、できるはずなのに……)

[シャロン]
(テオが、いつも与えてくれる
安らぎの半分でも返したい……)

[シャロン]
(でも、サクシード殿に尋ねても、
はぐらかされるだけ。
誰もわたしの話を聞いてくれない……)

[シャロン]
(わたしは、皇帝なのに……。
こんなに無力だったのね……。
強くなりたい)

[ライオット]
そんな不安そうな顔は、
あなたには似合わないな。

いなくなったテオドールの代わりに、
シャロンの周辺を守っているのは……。

[シャロン]
皇帝は、孤独なのだと
しみじみ痛感しております。

[ライオット]
孤独が嫌ならば、
寄り添える人を求めればいい。
恐れず……手を伸ばすのです。

[シャロン]
残念ながら、
今はそんな気にはなれないのです。

[ライオット]
テオドールのことが心配ですか?
「剣」が傍にないと不安を覚えるとは──

[ライオット]
シャロン様も、立派な剣士ですね。
お顔に似合わず、剛胆なお方だ。

笑い飛ばしてみせるライオットだったが、
反応はない。

むしろ、シャロンの悲しみが、
より深く沈んだように思えた。

[ライオット]
(参ったな……。
俺の城にいらっしゃっていた頃の
シャロン様は、もっと快活で朗らかなお方だった)

[ライオット]
(テオドール殿がいなくなっただけで、
ここまで悲しまれるとは……)

[シャロン]
ライオット殿。サクシード殿は、
今どこにおられるのですか?
もう一度、お話を……。

[ライオット]
何度お話をなさっても同じでしょう。
テオドール殿の嫌疑が晴れるのは、
本当の下手人がみつかってからのこと。

シャロンは、否定するように首を振りたくった。

[シャロン]
テオの無罪は、
皇帝のわたしが証明すると言ってるのに……。
それではいけないのですか?

[ライオット]
この世には、世の仕組みがございます。
法をねじ曲げることは、
皇帝陛下にもできないのでございます。

[シャロン]
そんな……。
では、テオとは会えないままなのですか?

若い皇帝は、力なくへたり込んだ。

[ライオット]
(陛下をお慰めしたいが、
カギとなるのはやはり、テオドール殿だ)

[ライオット]
(この様子では、テオドール殿が戻られるまで、
お顔色が晴れることはないだろう)

[ライオット]
(テオドール殿の代わりに、
陛下をお支えすることすらできないとは……)

さらにライオットを苦しめている事実。

それは──

[ライオット]
(前日まで陛下が私に見せていた
明るい表情は、どれもテオドール殿の
帰りを待っているからこそのものだった……)

[ライオット]
(テオドール殿は、
陛下にとって……全てなのか?)

そのことを実感するたびに
ライオットは打ちのめされた気分になる。

[ライオット]
(俺ではシャロン陛下のお心の一部すら
埋められないのか……)

ライオットの胸に広がる熱。

それは、ひとりの男に対する
明確な嫉妬だった。

[ライオット]
(だが、俺は諦めん。
シャロン陛下に笑顔をもたらすのは、
テオドール殿ではない)

[ライオット]
(この俺だ。
それを今から証明してみせよう)

[ライオット]
陛下。もし、この現状を
打開したいとお思いならば、
力をお貸しします。

[ライオット]
ただ、そのためには、
陛下にも少しお覚悟が必要になります。

[シャロン]
どうすればいいのですか?
わたしは、テオのためならば、
どんな苦難も厭いません。

  ◆  ◆  ◆

(クリア後)

大勢の警備兵たちが、
テオドールを取り囲む。

彼らは、かつてテオドールと共に
シャロンを守る兵だったはずだが、
今やサクシードの先兵と化している。

[ミー]
テオ様には、指一本触れさせません!

ミーは美しい髪を振り乱す。
髪は生き物のように蠢いて、
兵士たちの目を惑わせる──

[警備兵]
なんだこいつの髪は?
どうせ、たちの悪い手品だろう!?

[ミー]
手品かどうか、試してみなさい!

黒い髪を勢いよく、振り払った。
突如、発生する無数の燦めき。

髪の中に潜んでいた暗器が飛び出し、
兵たちを襲った。

[警備兵]
うぎゃあ!

兵たちが、次々に倒れていく。

[ミー]
これぞ、ケルタ家隠密「七姉妹」に
伝わる秘儀「操髪暗器」──

[ミー]
恋する乙女の強さ、思い知りましたか!?

[ミー]
やだっ。恋する……とか、言っちゃった。
本人に聞かれたらどうするのよ?

[ミー]
こういう想いは、
胸に秘めておくのが花なのに〜。
ね、テオ様……ちらっ。

[テオドール]
(やはり、シャロン様の元へ
直接向かうしかないようだ)

[テオドール]
(きっと心細い思いをしているでしょう。
待っていてください!)

[ミー]
(ああ〜。やっぱり、聞いてなかった!
……でも、ここでめげちゃダメダメ!
ファイトよ、私!)

[テオドール]
退きなさい。皇の剣に弓引くことは、
陛下への反乱にも等しきこと。

[テオドール]
もし反乱の意思がおありならば、
この私の剣にて、お相手いたします。

警備兵たちは、ぴたっと動きを止めた。

元より、彼らはテオドールのこれまでの
シャロンへの忠誠を知っている。

そして、テオドールの強さも、
十分承知していた。

[サクシード]
なにをしているの?
大事な舞踏会を滅茶苦茶にし──

[サクシード]
陛下だけでなく、皇族にも危害を
加えようとする謀反者をすぐに捕らえなさい!

サクシードが、舞踏会の貴族連中に
混ざっていた。

[テオドール]
サクシード、あなたは罪を犯しました。

[テオドール]
皇の剣と皇帝陛下を
無理やり引き離す権限は、
皇族にも与えられていない──

[テオドール]
私を強引に監禁し、
シャロン様のお心を惑わせた罪は重い。
覚悟──!

[サクシード]
そのようなこと、
一介の剣士である貴殿が
決めることではない!

サクシードが、言い終える前に
テオドールは床を蹴っていた。

警備兵を踏み台にして、
飛び上がる。

ひらりと宙をまたいで、
テオドールがサクシードの目の前に降り立つ。

[サクシード]
は、速い──!

[警備兵]
させるか! 狼藉者から、
サクシード様をお守りしろ!

躊躇っていた兵たちが、
一斉にテオドールに刃を向ける。

[テオドール]
愚かな──

テオドールが剣を握り直す。

切っ先が、煌めく粒子を放ちながら、
虚空に円を描いた。

[警備兵]
なっ── 身体が……凍っていく!?
なんだこれは……?

[テオドール]
絶零剣──
「氷界」に堕ちたあなたたちの肉体は、
即座に凍り付き──

[テオドール]
僅かな衝撃を受けただけで、
粉々になって崩れ落ちるでしょう。

それは、テオドールからの
死の宣告も同然だった。

それでもなお、剣を振るおうと
手を掲げた兵の腕は──

ガラス細工が砕けるように、
もろくも崩れ去る。

[サクシード]
ほう……?
それが、皇の剣と言われる
男の力ですか……。

[サクシード]
だが、剣の使い手はこちらにもいる。
レブン殿。そなたの出番よ。

[レブン]
はいよ。
未熟な弟子を持つと、
面倒事が増えて厄介だぜ。

[テオドール]
レブン……。まさか、あなたは、
サクシードの「剣」となったのですか?

[レブン]
どの皇族にも、剣は必要だ。
貴様が守るシャロン陛下にも、
サクシード様にもな……。

レブンの剣の腕は、
テオドールが一番知っている。

率直に言って、ここでは戦いたくなかった。
負けるからではない。
他を巻き添えにしてしまうからだ。

……。

テオドールは、僅かに退いて間合いを離す。
レブンは、柄に手をかけたまま、
距離を詰める。

ふたりの剣士の緊張が極限まで張り詰め、
今にも切り裂けそうな空気だった。
それを破壊したのは──

[シャロン]
お待ちなさい。
宮廷内で剣同士が剣を交えることは、
皇帝シャロンが許しません。

[サクシード]
シャ、シャロン様……。どうしてここに?

サクシードは狼狽えながら、
シャロンの背後にいるライオットを
睨み付けた。

[ライオット]
随分賑やかだったから、
シャロン陛下がお気になさって
様子を見にこられたんだ。

[ライオット]
さ、遠慮せずに続けな。
陛下のいない舞踏会の続きをな──

そう言われて、はいわかりましたと
動けるものは誰一人いなかった。

[サクシード]
ちょ、ちょうどお開きにしようと
思っていたところです。

[サクシード]
騒々しいようでしたら……
も、申し訳ありませんでした……。

[シャロン]
サクシード殿、それからレブン殿。

[レブン]
はっ。

目の前にいるシャロンは、
これまでの頼りない彼女とは違い……。

皇帝らしい威厳を備えていた。

[シャロン]
舞踏会を開かれるのであれば、
次はわたしも招待してくださいね。

皇帝シャロンにそんなことを
言われてしまっては──

サクシードといえど頭を垂れて
引き下がるしかなかった。

[シャロン]
ふう……。

皇族たちが去ったあと、
糸が切れたようにシャロンは倒れそうになる。

[テオドール]
シャロン様!

[シャロン]
な……慣れないことをしたせいで、
膝がガクガクです。

[シャロン]
わたしは、テオのお役に立てたでしょうか?

[テオドール]
もちろんです。シャロン様のお陰で、
命拾い致しました。

ふたりは、ごく自然に手を取り合っていた。

[シャロン]
ケルタ卿にも、感謝申し上げます。

[シャロン]
あなたの言葉がなければ、
わたしは今でも踏み出せないままでした。

[ライオット]
もったいなきお言葉。
私はただ、陛下の背中を軽く押させて頂いた
だけでございます。

[ライオット]
すべては、陛下のご威光です。

  *  *  *

すべてが片付いたあと、
テオドールがライオットに尋ねた。

[テオドール]
陛下に何を申されたのですか?
陛下があのように、振る舞われるとは……
正直驚きました。

まだ先ほどのことが信じられない
と言いたげなテオドール。

[ライオット]
罪な男だなそなたは……。

[ライオット]
シャロン様は、お前のためなら、
なんでもなさるお覚悟だ。

[ライオット]
陛下にそこまで想わせる剣が、どこにある?
あとで感謝申し上げておくことだな。

絶級:絶海に浮かぶ魔宮→

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その光は淡く碧く 〜 第二章 儚き聖域 上級:主役なき舞踏会

←中級:煙火に断ち切られて

地下牢に幽閉されテオドール。

本来、皇の剣は皇帝の傍を片時も
離れてはならないはずだが……。

[テオドール]
虜囚の辱めを受けるとは、
シャロン様に顔向けできない……。

[ミー]
反省するのもいいですが、
それよりもテオ様は、
ご自身の身をお案じください。

[ミー]
テオ様は今、反逆者の汚名を
着せられようとしているのです。

[ミー]
反逆の意ありと見なされれば、即日死刑
ですよ!? テオ様の首が
ごろーんと転がる所なんて見たくないです!

[テオドール]
そのような心配は無用です。
私がシャロン様に弓引くような愚を
犯すわけが──

[ミー]
でもでも、どうやって潔白を証明されるの
ですか!? 火を放った下手人たちは、
あっという間に断頭台に送られましたよ!

テオドールは言葉を失いかけた。

まだ、本格的な取り調べが
始まったわけでもないのに、
犯人を死罪にするとは──

[ミー]
早すぎますよね?
テオ様は、どう思いますか?

[テオドール]
犯人たちが、すでにこの世にいないとなれば、
私が黒幕ではないと証明する者は、
どこにもいないですね……。

[ミー]
そんなのんきなことでいいんですか!?
うちのご主人様も、心配してましたよ!

ミーの主人であるライオットは、
今シャロンの護衛についているらしい。

ライオットからの申し出らしいのだが……。

[テオドール]
(あのお方が、お守りくださるのなら、
ひとまず安心だが……。
いや、安心していいのだろうか?)

[ミー]
テオ様! ほっとしている場合では
ありません!

[ミー]
このままですと、
謂れのない罪をかぶせられて
断頭台送りです!

そう。問題なのは、テオドール自身だ。

このままシャロンと引き離されたままで、
いいわけがない。

  *  *  *

[サクシード]
シャロン様、ご安心ください。
皇族、貴族たちの中には、
陛下に弓引く不届き物は、おりませんでした。

[サクシード]
レグア家が、保証いたします。

そう言われても、一向にシャロンの顔色は
優れない。

[シャロン]
テオは……いつ、解放されるのでしょうか?

[サクシード]
テオドール殿が取り調べに
非協力的なせいで、真実の解明に
難渋しております。

[ライオット]
あのテオドール殿が、
協力しないなんてこと、ありえるかな?

[サクシード]
ライオット、あなたはなんの権限が
あって、シャロン陛下の
傍にいるのですか?

[ライオット]
僕は頼まれたんだ。シャロン陛下に、
傍にいて欲しいと……。
ですよね?

[シャロン]
……え、ええ。

[サクシード]
まあいいでしょう。
シャロン陛下、私どもに
すべてお任せください。

[サクシード]
私ども、家名は違いますが、元は同じ
一族同士。こういう非常時は、
協力し合うのが当然でございます。

[シャロン]
頼もしく思っております。
ですが、皇族の皆様方とおなじく、
わたしにはテオドールが──

[サクシード]
あ、そうそう。
私、いいことを考えました。
宮廷の皆様を安心させるために──

[サクシード]
舞踏会を開こうと思うのです。
近々、本当の犯人も捕まるでしょうし……。
問題ないですよね?

  *  *  *

[ミー]
大変です。テオ様! 大変ですよ!

宮廷の様子を探っていたミーが
戻ってきた。

[テオドール]
……舞踏会を開く?
このような時に、シャロン様が
許可されるはずがない。

まだ放火事件の全面解決には
至ってないはずだ。
それなのに……。

[ミー]
あのレグア家の御当主様は、
相当なやり手みたいです!

[ミー]
事件の担当者として陛下に接近してから、
瞬く間に宮廷の権力を掌握しちゃい
ました。どうされます?

どうすると言われても、
囚われの身である以上、
テオドールにはどうにもできない。

ただひとつの願いは、シャロンと直接会いたい。

シャロンの不安を取り除きたいし……。
なによりも、
「剣」には収まるべき「鞘」が必要だ。

[テオドール]
これ以上の迷いは不要でしょうね……。

諸々の気遣いを捨てて、
ただシャロンのことだけを考える──

すると、選ぶべき道は、
たった一つしかないことに気付く。

[テオドール]
ミー、あなたにお願いがあります。

[ミー]
脱獄ですね?
実は、テオ様ならそう仰ると思って、
準備してきました。

黒い髪の中に無造作に手を突っ込む。
取り出したのは、カギを開けるための道具。

[テオドール]
(脱獄になるが、それも致し方ない。
これも、シャロン様のため──)

冷静な顔をしながら、
昔の若い頃の血が騒いでいた。

  ◆  ◆  ◆

(クリア後)

宮廷は、華やいだ雰囲気に満ちていた。

この前の放火事件の騒動を忘れようと
ばかりに、貴族や皇族連中が、
大いに着飾り、騒いでいる。

このような華やかさの裏に隠れている
腐りかけた宮廷の雰囲気に
テオドールは、目をつぶってきた。

高貴な連中の行いは、
皇の剣である自分には、関係ないと
思っていたからだ。

[テオドール]
(シャロン様は、どこにおられる?)

テオドールにとって、脱獄は罪ではない。

シャロンを守れないことこそ、
罪だと考えている。

[ミー]
この会場にはおられないようですね。
でも、皇帝陛下のいない舞踏会は、
なんだか……。

[ミー]
陽の明かりの差さない世の中みたい
ですね。でも、私にとっての太陽は、
テオ様おひとり……。

[ミー]
きゃっ! 言っちゃった!
んもう、ミーったら口が軽いんだから。
こいつっ!

と、自分自身につっこむミーを尻目に、
テオドールは会場の中を進んでいく。

[ミー]
無視ですか!?
やはり、テオ様はシャロン陛下一筋なのですね。

[ミー]
そういう頑なで一途なところが、
また……す・て・き!

[テオドール]
(ここにはいないということは、
やはりお部屋か)

会場は、宮廷の警備兵たちが守っている。

彼らは、テオドールたちの姿を見るなり
色めき立ったが、
構わず先を急いだ。

レブン.jpg

[???]
お急ぎのようだな、お嬢さん?
どこに行くか知らないが、
一曲俺と踊らないか?

[ミー]
何者です!?

振り返ったテオドールを守るように、
ミーが立ちはだかる。

[???]
なんだよ、男か……。
髪が長いから、女と見間違えちまったぜ。

舞踏会に帯刀を許されているものは、
この宮廷の警備兵か、
皇族の守護者だけだ。

[テオドール]
レブン……。こんな場所であなたと出会うとは。
驚きです。

目の前にいるレブンという男。
その立ち姿だけで、並の使い手でないことが
わかった。

[ミー]
テオ様、このお方は……?

[レブン]
俺もどうかしちまったぜ。
不肖の弟子とはいえ、
貴様を女と見間違うなんてな。

[ミー]
え? 弟子?

[テオドール]
ご無沙汰しております、師匠……。
と、ご挨拶をしたいところですが、
少々急いでおりますので。

[ミー]
(ええっ!? テオ様にお師匠がいた
んですか!?
師とは、つまり……剣の師匠ですか!?)

[ミー]
(これは、初めて知る情報です!
テオ様マニアの私としては、
しっかりとメモしておかなければ!)

[レブン]
そう急ぐな。
俺は、久しぶりに会ったお前と話がしたい。

[レブン]
脱獄してどこへ行こうとしているのか、
聞かせてくれないか?

レブンが、剣の柄に手をかけた。

[テオドール]
……なぜあなたが、
宮廷の警備兵のまねごとを
なさっているのです?

[テオドール]
世俗を嫌い、山奥に隠棲して
剣の腕を磨くことのみを
追求していあなたが……なぜ?

レブンの剣技は、世界中探しても
比肩する者がいないと言われている。

テオドールさえも、
レブンには敵わなかった。

いや、テオドールに強さの種を植え付け、
育てたのがこのレブンだった。

[レブン]
世に乱れがあれば「剣」は必要とされる。
それゆえよ……。

テオドールの存在に気付いた
警備兵たちが、援軍を呼び、
態勢を整えようとしている。

[テオドール]
すまないが、立ち話をしている暇もないようです。
再会を祝うのは、のちほど。

[レブン]
このまま大人しく行かせる
俺だと思うか?

会場の雰囲気が暗く沈んだ。

テオドールを取り囲む、
無数の殺気。

この会場の至る所に、
レブンの配下が潜んでいたのだと
気付くには遅すぎた。

[テオドール]
ミー! 力尽くで突破します!
ついてきなさい!

[ミー]
もちろんです!
テオ様のためなら、
地獄の底までお供します!

封魔級:若き皇帝→

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その光は淡く碧く 〜 第二章 儚き聖域 中級:煙火に断ち切られて

←初級:淡く燻る思い

[テオドール]
(あんな年下の若者に、つい昔の自分を
さらけ出してしまうとは。
大人げない振る舞いだった)

[テオドール]
(だが、ライオット様のことがよく分かった)

[テオドール]
(確かに、あのお方は、人を引きつける
不思議な魅力を持っている)

それを感じているからこそ、シャロンは
何度も彼に会いに行っているのだ。

ライオットは、宮廷にいる誰とも
違う性格の人物。

ライオットの言葉は、刺激的なだけに
シャロンに新鮮な感情を
もたらしてくれるのだろう。

[シャロン]
……と、いうわけなのです。
テオ? わたしの話、聞いてますか?

[テオドール]
はい。聞いておりました。

[シャロン]
嘘です。
だってテオったら、ずっと外を見ていたでは
ありませんか。

[テオドール]
さすがシャロン様。なんでもお見通しだ。

からかわれたと思ったシャロンは、
怒ったように頬を膨らませる。

けどすぐに、気持ちを切り替えた。

[シャロン]
ケルタ卿に会いに行ったというのは、
本当ですか?

[テオドール]
ええ、会いに行きました。
想像していたとおり、
素晴らしい御仁でした。

[シャロン]
あら、怒っているわけではないの?
テオが、今日考え事ばかり
しているのは──

[シャロン]
ケルタ卿となにか
あったのかと思ったのに……。

あったと言えばあった。

シャロンに生臭い話をしないように
釘を刺した。それに対してライオットは、
最初難色を示した。

最終的にテオドールの抗議を受け入れる
と言っていたが、
果たしてどこまで本気なのか……。

[テオドール]
シャロン様は、ライオット様のことを
どうお思いになられていますか?

テオドールの質問に、シャロンはしばし考える。

[シャロン]
とても素敵な方、だと思います……。
それに、凄く正直な方です。

正直、と聞いてテオドールは少し意外に思った。

[シャロン]
時に耳の痛いことも言われますが、
その率直さは、わたしに対して
正直であるがゆえ。

[シャロン]
あのような方にお会いしたのは、初めてです。
だから、まだ……なんとも言えません。

困惑していながらも、ライオットに対して、
後ろ向きな感情は
抱いていないのがわかる。

[テオドール]
(シャロン様が、
このようなお顔をなさるとは……。
以前よりも世界を広げられたのだろう)

それはとても喜ばしいことだった。

[テオドール]
(しかし、なぜだろう?
この微妙な胸のざわめきは……)

他人の話をするシャロンを見て、
なぜかテオドールの心が揺らいでいた。

ライオットを妬む立場にはない
ことは自覚しているのに……。

[テオドール]
そういえば、私も素敵な方に出会いました。
ライオット様にお仕えしているメイドです。

黒い髪が特徴的なメイドのミー。
彼女のことは、シャロンも知っていた。

[シャロン]
……ぶー。

ミーの話をしただけで、
なぜかシャロンは頬を膨らませる。

[シャロン]
珍しいですね。
テオが、他の女性の話をするなんて……。

[シャロン]
よっぽど、ミーさんが気に入られたのですね?

冷たい視線。
露骨にシャロンは、面白くないという態度を取る。

それを見てテオドールは、心の中でほくそ笑む。

[テオドール]
(ふふっ。シャロン様もまだお若いですね。
感情を表に出しすぎる……)

シャロンがこんな顔を見せるのは、
テオドールだけだ。

分かっていながら、シャロンの心を
試すような不敬なことをしてしまった
……と、心の中で反省する。

[テオドール]
機嫌を直してください。

[テオドール]
彼女の髪は、
とても綺麗でしたが、まだよくわかりません。

[テオドール]
陛下がお気持ちを害されることは、
ありませんよ。

[シャロン]
べ……別に、気を悪くしているわけでは
ありませんから。お構いなく。

こんなシャロンを見るのは、初めてだった。

その後、ヘソを曲げたシャロンは、
3日間テオドールと口を利かず、
テオドールを困らせ続けたのだった。

  ◆  ◆  ◆

(クリア後)

レブン.jpg

[???]
剣に感情を乗せて振るう。
それが貴様の弱みであり、
強みだな。

[???]
だが、それでは俺は超えられん。
それでいいのか、テオドール?

[???]
強さを求めるなら、感情を殺せ。
滾る命の輝きに頼り、その場しのぎの
強さだけを求めるな。

[???]
それは真の強さではないのだ。

[???]
氷解の中で永劫に眠り続ける、
枯れることのない花のような達観。

[???]
求める強さは、
その奥にある──

テオドールの剣の師は、
いつもそのような話をしていた。

師は、テオドールより若かったが、
間違いなく一つの高みに
到達していた。

問題なのは、なぜ突然こんな昔のことを
今になって思い出したかだ。

[テオドール]
(ライオット様の本音が、
計り知れない。
一体、なにを考えておられるのか……)

このタイミングで、シャロンに接近したのは、
なにか狙いがあってのことでは
ないのか?

その疑念が、ずっと心に残っていた。

  *  *  *

宮廷のどこかが騒がしくなった。

焦げた臭い──

テオドールは、即座にシャロンの元に駆けつけた。

[シャロン]
テオ? なにがあったのです?

無事なシャロンの姿を見て、
まずは安堵する。

[テオドール]
宮廷内のどこかで火が上がったようです。
シャロン様は私の傍を離れませぬよう
お願いします。

シャロンは、不安そうに
テオの服の袖をつかんでいた。

そこへ、少数の兵が姿を見せた。

宮廷を警護する兵だが……。
どことなく、挙動が不審だ。

[テオドール]
そこの兵たち。お待ちなさい──

警備兵たちは、テオドールに呼び止められ、
一斉に浮き足立った。

サクシード.jpg

[???]
宮廷に火を放つ謀反人を
捕らえたのは、テオドール殿ですか?
さすがは、皇の剣。良き働きである。

テオドールは、深々と頭を垂れた。

目の前にいるシャロンとほとんど年が変わらない
この少女は──サクシード・レグア。

レグア家も皇族に連なる由緒ある家柄。
その若き投手が、このサクシードだった。

[サクシード]
シャロン陛下もご無事でなによりでした。

[シャロン]
は、はあ……。

こんな年の近い皇族がいたことを、
シャロンは今まで知らなかったようで
……どうしたものかと戸惑っている。

[テオドール]
(シャロン様、ここは堂々と、
夜分に集まってくれたことをねぎらうべきです)

こっそり耳打ちする。

[シャロン]
み……皆の者、夜分遅くご苦労でした。
幸い、火も即座に消し止められたようで……。

[シャロン]
大事にならずに済みました。
皆の働きのお陰です。

[サクシード]
テオドール殿が捕えた下手人は、
本来ならば宮廷を警護する者たち。

[サクシード]
なぜ、陛下の御宸襟を悩ますようなことを
したのか、しっかりと取り調べる
と共に──

なぜかサクシードは、
テオドールの方を向く。

[サクシード]
彼らの背後にいる黒幕を突き止め、
真実を突き止めなければいけませんね。

サクシードの言葉が終わると同時に、
彼女が引き連れていたレグア家の兵が……。

[テオドール]
この兵たちは、なぜ私を取り囲むのです?

[サクシード]
宮廷警備の責任者は、テオドール殿です。
捉えた下手人たちも、
あなたの管轄下にある兵。

[シャロン]
そんな! テオが犯人だと言うのですか?

[サクシード]
陛下、この剣は私めにお任せを……。
我がレグア家は、代々大審院の長を
務めてきた家。

[サクシード]
世の歪みを正し、陛下のお心を案じ奉るのは、
私どもの責務でございますゆえ。

[サクシード]
全て私にお任せください。

[テオドール]
シャロン様……。心配なさらないでください。
誤解は直ぐに解けます。
それまで御自重ください。

[シャロン]
テオ……。

[サクシード]
テオドール殿、申し訳ないが、
少しお話を聞かせて頂く。
さ、私と共に参られよ。

上級:主役なき舞踏会→

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posted by yamanuko at 23:07| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

その光は淡く碧く 〜 第二章 儚き聖域 初級:淡く燻る思い

OP1.jpg

[シャロン]
私の見る世界は――未来は、
あなたの見る世界で、未来なのよ。

OP2.jpg

[テオドール]
私はいつまでも、あなたとともに。

OP3.jpg

[ライオット]
そんな不安そうな顔は、
あなたには似合わないな。

OP4.jpg

[シャロン]
テオ、あなたが勇気をくれたのです。

  ◆  ◆  ◆

皇帝シャロンを乗せた馬車が到着する。

停車予定地で待っているのは、
シャロンを守る皇の剣(おうのつるぎ)
──テオドール・ザザ。

テオドール2.jpg

[テオドール]
シャロン様。お帰りなさいませ。

テオドールは、細く長い身体をしなやかに
折り曲げ、馬車を降りてくる
皇帝に頭を下げた。

シャロン4.jpg

[シャロン]
ご苦労様。テオ。

短く返事をするシャロン。
その表情には、まだ緊張が残っている。

だが、不愉快さや怒りは滲ませていない。
きっと今日も意義のある交友に
終わったのだろう。

[シャロン]
疲れました。私室に戻ります。

宮廷に戻るシャロン。
背後から付き従うテオドール。

[シャロン]
今日は……あのお方に、
昔の話を聞かせてもらいました。

[シャロン]
それはよかった。
ライオット様とシャロン様はお年も近い。

[テオドール]
きっと話も合うのでしょう。
楽しいお時間を過ごせたと、
顔に書いてあります。

テオドールは、自分に新しい友が出来た
かのように喜んだ。

[シャロン]
テオったら、からかわないでください。

[シャロン]
でも本当に、あのお方は、
わたしの知らないことを
沢山知っておられます。

シャロンの表情が、少し曇った。

[シャロン]
宮廷の外のことも……。
わたしが皇帝になる以前のこともご存知でした。

[テオドール]
シャロン様は、幼くして帝位に
お付きになられた。その時は、
ライオット様もご幼少であられたはず。

シャロンが皇帝になる前のことを
知っているとしても、子どもの記憶にすぎない
と高をくくる。

[シャロン]
ええ、テオの言うとおりだわ。
わたしが、帝位に就いた時は、
あのお方も幼かった。

[シャロン]
でも……やはり、わたしはあのお方と、
本当の友にはなれないのかもしれません。

なにか懸念があるのか、
うつむいて小さくため息をつく。

[テオドール]
なぜでしょうか?
これまでシャロン様自ら、何度も会いに
向かわれているということは──

[テオドール]
ライオット様とは、
かなり気脈が通じ合っているものだと
思っておりましたが……。

前を行くシャロンの足が、
ぴたっと止まった。

もう宮廷は目の前だ。
こんなところで立ち止まる理由はないはず。

[シャロン]
……これは、テオには
内緒にするつもりでした。
でもやはり我慢できません。

[テオドール]
なにかございましたか?

[シャロン]
あの方、今日も失礼なことを言ったのですよ!

と、露骨に怒りを露わにする。

[シャロン]
「皇位継承に尽力したのは、
我がケルタ家です──」

[シャロン]
「シャロン様が、皇帝の地位に
あらせられるのは、我々のお陰。
少しは感謝して欲しいものです──」

[シャロン]
そんなことを言われて、
わたし、なにも言い返せなかったの。

テオは、頭を抱えた。

ライオットが身分の違いを弁えない
礼儀知らずなのは、舞踏会でシャロンと
出会った時からだったが。

[テオドール]
(皇族の中でも、変わり者だとの噂ですし……。
懸念はしておりましたが……)

[テオドール]
(皇族の一員だからといって、
皇位に就けたことを感謝しろとは──
僭越きわまる物言いですね)

[テオドール]
わかりましたシャロン様。
明日、私がライオット様に会ってきましょう。

[シャロン]
もしかして……ライオット様を叱りに行くの?

[テオドール]
まさか。皇の剣とはいえ、
同じ皇族の方を叱りつける権限など
ございません。

[テオドール]
シャロン様にあまり無礼なことを仰らないよう、
やんわりと釘を刺して参ります。

[シャロン]
やんわりと……ですか?

[テオドール]
はい、やんわりと。

  ◆  ◆  ◆

(クリア後)

テオドールの手には、紋章がある。

それは舞踏会の時に、ライオットが
身分を従者だと偽ってシャロンに
近付いたときに手渡したものだ。

紋章は、皇族の一員である
「ケルタ家」のものだと、
テオドールには一目でわかった。

[テオドール]
(シャロン様も、お年頃。ましてや、
あのお美しさ。御交友を深めたいと
思う異性がいても不思議ではない)

[テオドール]
(ましてや、その相手が皇族の一員
とあらば、私には遮る理由も
権利もない)

テオドールは昔のことを思い出す。

  [シャロン]
  私の見る世界は──未来は、
  あなたの見る世界で、未来なのよ。

[テオドール]
(お言葉は嬉しかった……。だが、
シャロン様を籠の鳥にしては
いけないのだと、その時私は気付いたのだ)

だから、ライオットとの交流を始めるように
積極的にシャロンに提案したのだ。

ライオットは、変わり者だが、
正義感のある御仁だとも聞く。

[テオドール]
(きっとシャロン様に新しい世界を
見せてくれるお方。
実際、シャロン様に興味をもたれた……)

[テオドール]
(しかし、あの発言は看過できない──)

待合室にひとりのメイドが音もなくやってくる。

ミー.jpg

[???]
おっまたせいたしましたー!
ライオット様のお部屋までご案内いたします!

[テオドール]
(気配を感じなかった。
この子、ただのメイドではない……?)

[???]
お噂は、耳にしております。
陛下の「剣」は、大層な美丈夫であると。

[ミー]
きゃ! ミーったら、ご本人を目の前にして、
なんてことを! この口が悪いのね!?
えいえい!

[テオドール]
(賑やかな子だ。年はシャロン様より
お若いようだが……)

[テオドール]
(それにしても、美しい髪だ。
メイドにしておくのは勿体ないほどです)

[ミー]
さ、どうぞこちらへ。

[ミー]
(テオ様が、私の髪を見てる!?
テオ様がいらっしゃると聞いて、
お姉様に梳いてもらってよかったー!)

案内されて通された広間には、
目的の人物が待ち構えていた。

ライオット.jpg

[???]
ミー、お前の話し声が、
こっちまで丸聞こえだったぞ?

[ミー]
ひっ! すいません、ご主人様!
憧れの人に会えた勢いで、
つい口が滑りまくってしまいまして……。

慌てふためくメイドを叱るでもなく、
目の前の若者は、
優しく微笑んで下がらせた。

[テオドール]
(この御方がライオット・ケルタ様。
こうして相まみえるのは、
はじめてのはずなのに──)

[テオドール]
(最近シャロン様のお話に
よく出てこられるせいか、
初対面とは思えないですね)

[ライオット]
テオドール殿!
よくお越しになられた、と言いたいところだが
……俺に抗議に来たのだろ?

単刀直入だった。

どうやら、形式だけの挨拶などは
嫌う御方のようだ。

[テオドール]
ご承知ならば話が早い。
陛下にお仕えする者として、お願いいたします。

[テオドール]
今後シャロン様には、
世俗の生々しいお話など
なさらないでもらいたい。

シャロンには、皇位継承時の
醜い権力争いなど
知って欲しくなかった。

それに、今更知ったところで
意味のないことだ。

[テオドール]
それと、ケルタ家のお陰で
シャロン様が皇位に就けた
と仰るのは──

[テオドール]
身分の差を弁えない、
乱暴なお言葉に聞こえますが?

口調は穏やかだったが、
言葉には明らかな不快感が宿っていた。

[ライオット]
だが事実だ。
そう言うテオドール殿こそ、
シャロン陛下に対して無礼ではないか?

[ライオット]
籠の鳥として、いつまでも無垢なままで
いて欲しいと願うことこそ、
陛下に失礼だと思うがな。

テオドールの抗議など、
はじめから織り込み済み
だと言わんばかりの態度だった。

[ライオット]
シャロン陛下とお話して分かった。
あの御方は、なにも知らない。
いや、知らなすぎる。

ライオットは、どことなく悔しそうだった。
なぜそんな顔をするのか
テオドールには、理解できない。

[ライオット]
陛下には、テオドール殿という
素晴らしい剣があり──
その御身は安泰だが……。

[ライオット]
敵はなにも、
剣や矢で直接陛下を狙うとは限らないのだ。

[テオドール]
それは私も同意します。
シャロン様の心と身体……
両方をお守りする者が必要です。

シャロンの身は、テオドールが剣として
全身全霊で守り切る。

もう一方の「心」を守る者こそ、
ライオットがふさわしいのでは、
と思っていたのだが……。

[テオドール]
(刺激も度が過ぎれば、ただの毒だ)

[ライオット]
どうやら、俺はテオ殿に嫌われたようだ。
その美しいお顔に、
不快な色が宿っている。

[ライオット]
わかった。ここは、俺が折れよう。

[ライオット]
わざわざお越しいただいたテオドール殿の
顔を立てて、あなたの抗議を
お受けしよう。

ライオットが手を叩く。

すると、先ほどのにぎやかなメイドが
再び現れた。

[ミー]
なんですかご主人様?
え? テオドール様、もうお帰りになるんですか?

[ミー]
そんなー。ケルタ家自慢の薬草風呂で
疲れを癒やして頂こうと、
準備していたところなのに……。

[テオドール]
それは、またの機会に……。

[ミー]
それでは、玄関までお見送りします。
次にお会いするまで、ミーの美しい髪を
忘れないでくださいね?

[テオドール]
もちろんですよ。

ミーに案内されて、ライオットの前から
立ち去る──

[ライオット]
テオドール殿。
もうひとつ、あなたにお話したいことが
あるのを忘れていた。

[テオドール]
なにか?

[ライオット]
俺に仕えないか?
ケルタ家の領地の半分を
貴殿に差し出すが……どうだ?

唐突な申し出。
テオドールは眉一つ動かさずに……。

[テオドール]
私を……本気で怒らせたいのか?

[テオドール]
(しまった……。つい、昔の癖で……)

しかし、ライオットは怒るでもなく、
むしろわずかな笑みすら湛えていた。

その余裕の表情。
テオドールの反応を
楽しんでいるようにも見えた。

[ライオット]
ふふっ、そうだよな。そういう反応を
するよな。よくわかった。
今のは聞かなかったことにしてくれ。

中級:煙火に断ち切られて→

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posted by yamanuko at 23:06| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お大尽様は酉の神!? 〜 黄金の誘惑

←新春の幸注入

[小槌酉]
ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ!
今日から、ここがトリテンちゃんの
お家じゃぞ。

[トリテン]
すごーい! 黄金の山だ!
さすがは福の神様、
本当に大金持ちなんですねー!?

[小槌酉]
ふふふ……ふぉーっ! ふぉっ、ふぉっ!
ここにある黄金は、今日からすべて
トリテンちゃんのものじゃ。

[小槌酉]
トリテンちゃんは、
ワシと共になに不自由なく暮らすのじゃ。

[トリテン]
(さすが、人々に黄金という「福」を与えること
で有名な福の神様! でも、欲深い人間には、
容赦ない罰が下るというけど……)

[ダル]
にっしっしっ!

[マー]
にっしっしっ!

[トリテン]
あ〜。小槌酉様。
外出とかって……?

[小槌酉]
ここにいれば、トリテンちゃんは安全で幸せじゃ。
欲しいものがあるなら、
そこにいるダルとマーに頼むんじゃぞ。

[ダル]
任せるトリ!

[マー]
単純なデリバリー!

[トリテン]
じゃあ、トリテンは、
一生ここから出られないのですか?

[小槌酉]
それでなにか不都合があるのかな?
トリテンちゃんには、ワシがいる
ではないか。ふぉっふぉっふぉっ!

大きく笑ったあと小槌酉は、
侵入者の気配を敏感に感じ取った。

[小槌酉]
邪魔者が、この船に侵入したようじゃ。
トリテンちゃん、ジャストモーメントじゃ。

大きな羽を広げて飛立つ小槌酉。
残されたダルとマーが、トリテンを
監視するようにじっと睨んでいる。

[トリテン]
ううっ。グーちゃん、クーちゃん。
私、一生をここで終えちゃうのかなぁ?
福の神様に見初められたばっかりに……。

[トリテン]
やりたいこと、まだまだ沢山あったのに〜。
私がセンターの闘京ドウムコンサート
やりたかったよー。

[トリテン]
誰か助けて……でも、考えてみれば、
私、誰も頼れる人いないや……。

[トリテン]
今まで1番世話になってきたのは、
マワシちゃんだけど……つまらない
対抗心で、最近冷たくしてたし……。

[謎の声]
やっぱりそうだったのね?

[トリテン]
だってトップに立ちたかったのよー。
マワシちゃんを差し置いて……
私がセンターになりたかったのよー。

[謎の声]
身の程知らずなことを考えるからよ。
そこで反省しなさい。

[トリテン]
反省してます〜。
だから、誰でもいいから、
ここから助け出して〜。

[謎の声]
本当に反省しているっぺ?

[トリテン]
もちろんだよ〜。
……って、さっきから変な声が聞こえるけど誰?
まさかダルとマー?

[ダル]
違うってばよ!

[トリテン]
違う……じゃあ誰なの?

[マワシ]
うちらじゃ! トリテン、お前少し痩せたのう?

[ビシュラ]
トリテン先輩、助けにきたっぺ!
大丈夫だっぺか?

[トリテン]
マワシちゃん! ビシュラちゃん!
来てくれたんだね? ありがとう……。
ううっ! うわーん。怖かった〜。あーん!

[マワシ]
こらこら、泣くのはまだ早いわよ。

[ビシュラ]
あの太った神様が戻ってくる前に、
ここを脱出しなければいけないっぺ!

[トリテン]
私がバカだったの〜!
私、調子に乗ってマワシちゃんに
冷たい態度とってた……。

[マワシ]
そうね。あんたには、
腹が立ってしょうがないわ。

[ビシュラ]
ふたりとも話は、
ここを無事に脱出してからにするっぺ!

[マー]
呼ばねば呼ばねば!
小槌酉様を呼ばねば!

[トリテン]
まずい! 小槌酉が帰ってくる!
急いで逃げよう!

[小槌酉]
ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ! もう遅いのじゃ!
せっかくトリテンちゃんがワシのものに
なったのに、そう簡単に逃がしはせん!

[トリテン]
やだー! 戻ってきちゃったー!

[マワシ]
全速力で走れ!
捕まったら、あんた終わりだよ!

[トリテン]
マワシちゃん、ビシュラちゃん!
これからも、友だちでいてね!?

[トリテン]
もう二度と、マワシちゃんに意地悪しないし!
マワシちゃんを追い抜こうなんて
思わないから!

[マワシ]
どこまで、本当なのかしらね……。
話し半分で聞いとくわ。

[ビシュラ]
船から飛び降ります!
ふたりとも、覚悟はいいっぺか?

[トリテン]
ふああっ!? 飛び降りるの!?
マワシちゃん、先に行けぃ!

[マワシ]
さっきの反省はどこへ!?

[ビシュラ]
考えてる暇はないっぺ! いーちにのさん!

[トリテン]
きゃああああ!

ふたりの仲間のお陰で、
なんとか無事に脱出できたトリテン。

彼女はのちに、この時の体験談を
1冊の本にまとめた。
本の題名は──

芸能界の裏話。
「私はこうして福の神(通称Kさん)
の手から逃れた」

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posted by yamanuko at 22:53| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お大尽様は酉の神!? 〜 新春の幸注入

←センター交代!?

[トリテン]
今日も沢山の人が集まってくれました!
トリテン感激です〜!

[トリテン]
「幸注入券」を持ってるみなさーん、
順番に並んでください!
列を乱さないでくださいね?

[町人A]
ああ〜やっぱりトリテン様は美しいぜ。

[町人B]
あんな人に、直接「幸」を
注入してもらえるなんて夢のようだ。

[トリテン]
それでは、幸注入します! でやっ!
はい、おしまいです。次の方どうぞ〜。

[町人C]
トリテン様に幸を注入されたら、
今年一年、上手く行くこと間違いなしだ。

[町人D]
この日のために、トリテン様の「グラビア」
買い占めておいてよかったー。

[トリテン]
(こんなに沢山の人に集まって
いただけるなんて、トリテン感激です!)

[トリテン]
(やっぱりこれからは、
直接会いに行って「接触」できる
天女の時代なんです!)

[トリテン]
(マワシちゃんみたいな芸がなくても、
トリテンはこの方法で、12天女の
トップに立ってみせます!)

[トリテン]
終わりました! 次の方どうぞ!

  *  *  *

[ビシュラ]
お疲れさまだっぺ!
実は、今日、話があって来たんだべ……。

[トリテン]
ああ、ビシュラちゃん、
いいところにきた!
「剥がし」手伝ってー!

トリテンがなにをやっているのかも
よくわからないまま、ビシュラは
強引に手伝わされることになった。

[トリテン]
(みんなの笑顔が、私の喜びー!
……なんですけど、さすがにちょっと
疲れてきましたね)

[トリテン]
(お腹も空いてきたし、
え? まだこんなに並んでるんですか?
さすがにめんどりゃーですね)

[ビシュラ]
ありがとうございました。
終わった人は、テントから速やかに
退出してください。

[トリテン]
ビシュラちゃん、そんなちんたらやってたら、
夜になっても終わらないよ!

[ビシュラ]
申し訳ないです!
もっとキビキビやりますんで……!

一向に減る気配のないお客の列を目にして、
トリテンとビシュラは、
げんなりした表情を見せる。

そんな中、地割れのような足音が、
突如、鳴り響いた。

小槌酉.jpg

[???]
ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ!
トリテンちゃんとは、そちのことじゃな?
会いたかったぞぉ。

[トリテン]
ど……どちら様でしょうか?

[小槌酉]
なに、ワシを知らんとは……。
ワシは、小槌の酉(ゆう)。
今年の福の神じゃぞ。

[トリテン]
福の神様!?
で……でも、お忙しいはずの福の神様が、
どうしてここに?

[小槌酉]
ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ!
これを見てみなされや。

福の神様が、小槌を振るうと
バサッバサッと音がして、
大量の「幸注入券」が出現した。

[トリテン]
こんなにたくさんの注入券を
どうされたんですか?

[小槌酉]
ふぉっ、ふぉっ! 決まっておる、
グラビアを買い占めたんじゃ。なんせワシは、
金なら幾らでも、この小槌で生み出せるからのう!

[トリテン]
こんなに沢山買ってくれてありがとうござい
ますっ! トリテンは、とっても嬉しいです。

[トリテン]
(やったー、太いファンゲットー!
福の神様すら魅了してしまう、
私ってば、恐ろしい女ですわねーっ!)

[小槌酉]
では、今日からそなたはワシのものじゃのう。

[トリテン]
へっ! どうしてそうなるんですか?

[小槌酉]
この券を持参すれば、
1枚につき、10秒だけそなたを独占できる
と聞いたぞ。

[小槌酉]
ワシが持参した券は、大量じゃ。
これだけあれば、そなたは一生ワシが
自由にできるということじゃの?

[トリテン]
そ、そういうことには、
ならないと思いますけど……。

[小槌酉]
テレビでそなたを一目見たときから、
胸のときめきが止まらんのじゃ。
トリテンちゃんワシと一緒にきてたもれ。

[トリテン]
ビシュラちゃん……どうしよう?

[ビシュラ]
迷惑なお客様なら、
ワタスが剥がします! 待てー!

[小槌酉]
なんじゃ、そこの娘よ?
ワシの邪魔をするつもりかのう?

[トリテン]
だ、ダメだよ。
天女が、大勢の人前で戦っちゃ……。

[小槌酉]
ワシの邪魔をする者は、
誰であろうと許さんのじゃ!
ダル、それにマー! この娘を足止めせい!

ダル.jpg

[ダル]
やってやるトリ!

マー.jpg

[マー]
情熱のバトルアンドクライ!

[小槌酉]
さあ、トリテンちゃん。邪魔者は放っておいて、
ワシと共にランデブーしようぞ!

[トリテン]
いやー! ビシュラちゃん!
マワシちゃんに知らせて! こういう時、
頼れるのは、マワシちゃんしかいない!

[ビシュラ]
むむむっ、わ……わかったっぺ!

黄金の誘惑→

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posted by yamanuko at 22:52| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お大尽様は酉の神!? 〜 センター交代!?

←鐘を突くのは誰!?

[トリテン]
あ、ハッピーニューイヤーン!
今日も始まりました「ぶらぶら道草の旅」

[トリテン]
新年を迎えて、大いに賑わっている
ここ、六本松の人たちに今日も元気に
インタビューしたいと思います!

[トリテン]
インタビュー内容は、ずばり!
私、トリテンのことをどう思っているかです!

[町人A]
トリテン様? いいよね。人気ナンバー1だった
マワシ様を追い抜いたそうじゃないか。
凄い子だよね。それに可愛いし。

[町人B]
トリテン様はいいぞ。俺みたいなダメな奴にも
にこっと微笑んで、幸を与えてくれる。
彼女は俺の生き甲斐だし、とても可愛い。

[町人C]
若い奴らにめっぽう人気だそうじゃねぇか。
しばらく、ナンバー1天女の座は揺るがないん
じゃないか? それに凄く可愛いよね彼女。

[トリテン]
なるほど、率直なご意見
ありがとうございました。

[トリテン]
それではマワシさんにお尋ねいたします。
今の世間の声を聴いて、
ご感想をどうぞ。

先ほどから能面のような顔をして、
隣に立っているマワシにマイクを向ける。

[マワシ]
ご感想もなにもないわよ!
こんなインタビューどう見てもやらせでしょうが!
もう一回やりなおしなさい!

カメラの前で醜い争いが繰り広げられる。

[ビシュラ]
(ねぇさん、ビシュラだっぺ。
天女見習いを始めたワタスですが、
憧れの天女になるには、まだまだ道は遠そうだぁ)

天女グループ「ビューティー12天女」は、
誰が今1番人気の天女なのか、
メンバー同士で常に熾烈な競争を行っている。

トリテンとマワシ。このふたりのナンバー1
争いは、年を跨いだ後もずっと
続いており、周囲を呆れさせていた。

[ビシュラ]
(事務所の社長も、手に負えない
と嘆いていたっぺ。果たして、
この争いに決着はつくんだっぺか?)

  *  *  *

[マワシ]
うちは、はっきり言って、
トリテンちゃんにライバル心を
抱いている。

[マワシ]
トリテンちゃん……昔は、仲のいい
後輩だったのに、いつからこんないがみ合う
関係になっちゃったのだろう?

[マワシ]
はっ!?
もしかして、あの時から……?

  [トリテン]
  こんにちは、ビューティー12天女です!
  早速ですが、質問です。貴方は今、
  幸せですか? 不幸ですか?

  [マワシ]
  ……。

[マワシ]
レギュラー番組での街頭インタビュー中、
トリテンちゃんは、一度もうちにマイクを
向けてくれなかった。

[マワシ]
おかげで、うちは隣で相づちを打つだけで
まったく存在をアピールできなかった。

あの日から、ふたりの関係に
しこりのようなものが出来た
のではないかとマワシは考えていた。

いや、待て……それ以前にも、
切っ掛けになるような出来事が色々あった。
それもひとつじゃない。

マワシは記憶を掘り起こす。

[マワシ]
小猿たちとの練習を終えて楽屋にいくと、
うちの座っていた座布団の上に、
生暖かいうどんがこぼれてた……。

[マワシ]
誰かが間違ってこぼしたんだ、とその時は、自分
を納得させたけど、もしかしてあの日から、
バトルは始まっていたのかもしれない。

そういえば、あの時も……。

[マワシ]
楽屋でみんなでお弁当を食べている時……。

  [トリテン]
  だよねー。
  そういうのって、とってもめんどりゃーだよねー。

[マワシ]
お弁当に入っていた得体の知れない
キノコのような気持ち悪い食べ物を、
黙ってうちの弁当に移してきたし。

  [トリテン]
  うーんやはり、
  ここはお米の輸入量を国で規制するべき
  だと思いますね。

[マワシ]
ふたりで出た報道番組で、
トリテンは、ずっとうちの右足を踏んだまま、
気付いてくれなかった。

[マワシ]
言い出さなかったうちも悪いけど……。
「足踏んでるよ」というと、なんだか感じ悪い
かなと思って最後まで言えなかった。

  [トリテン]
  ビシュラちゃん。このあと暇?
  よかったら軽飯でも行かない?

  [ビシュラ]
  いいっぺか!?
  ご、ご一緒させてもらうっぺ。

[マワシ]
トリテンは、ビシュラだけを誘って、
うちを誘ってくれなかった。
とても寂しかった……。

[マワシ]
そして、なぜか後日、
お店の請求書がうち宛てに届いた。

[マワシ]
これは、さすがに引いた……。

記憶を掘れば掘るほど、
次々に嫌な気分になる思い出が
湧き出てくる。

[マワシ]
トリテンが新人の頃は、
いつもうちにつきまとってきて
可愛い後輩だったのに。

天女ナンバー1の座に固執したいわけじゃない。
ただ、嫌なのは……。

[マワシ]
うええええん。ビシュラちゃんどうしよう!?
トリテンちゃんに嫌われちゃうのは嫌だよぉ。

[ビシュラ]
マワシ先輩泣き止んでくれっぺ。

[ビシュラ]
……わかった。ワタスが力になる!
任せてくれっぺ!

新春の幸注入→

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posted by yamanuko at 22:51| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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