2016年04月28日

ウィズセレクションストーリーズ 〜 願いのトリロジー:お願い!お星さま!

ハローラ・タクト.jpg

名もない小さな村に、
ひとりの少女がやって来ました。

ハローラ.jpg

[???]
ふぅ……。なんとか……はぁ……間に合った
みたいですね……。

おやおや? どうやらとっても慌てている
みたいですね。すっかり息を切らしています。

彼女の名前は、ハローラ・タクト。

たしか、ここよりずーっと南の方にある、
ラポリの里の出身です。

村の男.jpg

[村の男]
おいおい……。大丈夫かい、君?

[ハローラ]
はい、わたしは大丈夫です。
お気遣いいただきまして本当に──。

彼女はそう言うと、
男に向かって深々と頭を下げました。

……。

[ハローラ]
…………。

[村の男]
…………えーっと。

[ハローラ]
………………。

それはそれは長い長いお辞儀の後で、
ハローラはようやく頭を上げました。

[ハローラ]
それであの……もしご迷惑でなければ、
ひとつお尋ねしたいことがあるのですが。

[村の男]
なんだい? 何でも聞いてくれよ。

[ハローラ]
はい。今晩、この村で流星群を見ることが
できるという噂を耳にしたものですが……。

[村の男]
流星群? ああ、確かそろそろ見えるはずだけど。
君、流れ星を見るためにこの村へ来たのかい?

[ハローラ]
はい。と言っても「見る」ためじゃなくて、
「聞いてもらう」ためなんですが……。

[村の男]
聞いてもらう?

[ハローラ]
お願いごとです。流れ星に願いごとを
聞いてもらえると、それが叶うんです。

[村の男]
まさかそんなこと……。

[ハローラ]
ご存じない!? わかりました! 親切にして
頂いたお礼です。是非ご説明させて下さい!

ハローラはふんっと鼻から息を吐いて、
話し始めました。

[ハローラ]
では、まずは基本ルールの説明からさせてもらい
ます──。

[村の男]
あ、でも君、そろそろ流星群が──。

男の言葉を遮って、ハローラは話し続けます。

[ハローラ]
空から降ってくる流れ星が地上に落ちるまでに、
叶えたい願いを3回唱えると、あら不思議!

[ハローラ]
お星様がその願いを叶えてくれるのです。

[村の男]
願いを3回唱えるだけで、叶ってしまうのかい?

[ハローラ]
はい。でもそれは口で言うほど簡単なことではあ
りません。

[ハローラ]
想像してみてください。
流れ星がどれだけ速く落ちていくか。

[ハローラ]
一瞬ともいえる僅かな間に、
3回も願いごとを唱えるんです。

[ハローラ]
ですから、前もって心の準備をしておくことが、
とっても大切なんです。ちなみにわたしは──

そんな風にハローラが夢中になって
話していると──。

[村の男]
……あ!

夜空が突然明るくなって、
沢山の星々が降ってきたのです。

[ハローラ]
きゃ、わたしまだ心の準備が……。

突然の流れ星を前に、
ハローラはあたふたするばかり……。

[ハローラ]
わ、わたしラポリの里のハローラ・タクトともう
します……じゃなかった。えーっと……。

[村の男]
この村で流星群が見られるのは、ほんの短い間
だけなんだ。さあ、早く願いごとを──。

[ハローラ]
はい! ですからわたしの願いというのは……。
あ! 待ってくださいお星さま!

そうこうしているうちに、
流星は全て地上へ落ちてしまいました。

[ハローラ]
……はあ。また失敗してしまいました。

[村の男]
残念だったね。

[ハローラ]
いいんです……。どうせいつものことですから。

ハローラはがっくりと肩を落とし、
降ってきたばかりの星々を拾い始めました。

[村の男]
その星くずをどうするんだい?

[ハローラ]
きれいに磨いて、お守りにして、旅先で
お会いした人に配るんです。こんな風に──。

そう言って、ハローラはガラスの瓶から、
ピカピカに光った星くずをひとつ取り出し、
男に手渡しました。

[村の男]
ありがとう。
君は流れ星を探して旅をしているの?

[ハローラ]
はい、叶えたい願いがありますので、
いつも失敗してしまうんですけどね。

[村の男]
そうだ! ポポラの里には、星を降らせる
魔法使いがいるって聞いたことがあるよ。

[ハローラ]
星を降らせる? そんなことができれば、
願いを叶え放題ではないですか!

[村の男]
願いが叶うかはわからないけど、去年の終わりに
ものすごい数の星が降ったのは見たことがあるよ。

[ハローラ]
どこですか? そのポポラの里というのは?

[村の男]
ここからずっと北の方だよ。

[ハローラ]
ありがとうございます。

深々と頭を下げてから、ハローラは一路、
ポポラの里へと向かうことにしました。

(道中)
私も願いを叶えたいにゃ!

[ハローラ]
ここがポポラの里……。

[ハローラ]
星を降らせることができる魔法使い……。
そんな夢みたいな人がこの里に住んでいる……。

[ハローラ]
故郷の町を飛び出してから幾星霜……。
ここがわたしの旅の、終着地……。

[ハローラ]
いい、ハローラ? いつ流れ星がきても、慌てず、
素早く、3回よ。しっかり願いを唱えるの……。

そう自分に言い聞かせて、
ハローラが足を踏み出した時でした──。

大きな星がひとつ、
彼女に向かってまっすぐ落ちてきたのです。

[ハローラ]
来たっ! わたしの願い、唱えさせて頂きます!

そしてハローラは、
慌てず、素早く、願いごとを唱えはじめました。

するとどうでしょう?

ハローラの願いに応えるように、星は少女の姿に
形を変えて、声を上げながら落ちてきました。

キシャラ.jpg

[???]
きゃー!

おや? あれはポポラの里の魔法使い、
キシャラのようですね。

[キシャラ]
ちょっとどいてどいてー!

[ハローラ]
え? えええええええ!

(クリア後)

[キシャラ]
アイタタタ……。

[ハローラ]
空から……女のコ……?

[キシャラ]
大丈夫? 怪我はない? ごめんね。
「星けんけん」をしてたら足滑らせちゃったの。

[ハローラ]
はい。わたしは大丈夫です。
お気遣い頂きありがとうございます。

そう言って、ハローラは深々と頭を下げました。

[キシャラ]
いえいえこちらこそ……。

キシャラも慌てて頭を下げます。

[ハローラ]
……。

[キシャラ]
…………(チラッ)。
(まだ頭下げてる)

[ハローラ]
…………。

[キシャラ]
…………(チラッ)。
(なんて長いお辞儀なの!?!)

[ハローラ]
あの……。

長い長いお辞儀の後で、
ハローラはようやく口を開きました。

[キシャラ]
はい。

[ハローラ]
もしや、あなたは星を降らせることのできる
高名な魔法使い様では?

キシャラは照れくさそうに、はにかみながら、
コクリとうなずきました。

[キシャラ]
確かに「天の川☆フォール」で星を降らせたこと
はあるけど……。

[ハローラ]
やっぱり! お願いします。わたしのために
どうか星を降らせてもらえないでしょうか?

と、ハローラは
再び深々と頭を下げようとしますが……。

[キシャラ]
あ、ちょっと待って。ちょっと待って!

[キシャラ]
「天の川☆フォール」は、
あたしひとりで成功させるには難しい魔法なの。

[キシャラ]
それに、
星だってやっぱりお空に浮かんでいたいだろうし。

[ハローラ]
そうですよね……。

ハローラはがっくりと肩を落とします。

[キシャラ]
どうして星を降らせたいの?

[ハローラ]
叶えたい願いがあって、それで流れ星を探して旅
をしているんですけどいつも失敗ばっかりで……。

そう言って、ハローラはキシャラに星くずの
詰まった瓶を見せます。

[ハローラ]
これ、全部、わたしが願いを
唱え終わる前に落ちちゃった星なんです。

[キシャラ]
こんなにたくさん……。

[ハローラ]
それで、星を降らせる高名な魔法使いがいると
お聞きして……。

[キシャラ]
そっか。それで、どんな願いを叶えたいの?

[ハローラ]
わたし、子どもの頃から両親に甘えてばかりで、
ひとりじゃ何もできないんです。

[ハローラ]
それにすごい人見知りですし、内気ですし、
口ベタですし、そんな自分が嫌いでした。

[ハローラ]
そんな自分を変えたくて……。

[ハローラ]
ひとりでなんでもできて、明るくて、お喋りで、
友だちがいっぱいいて……。

[ハローラ]
そんな女の子になりたくて、流れ星に願いを
叶えてもらおうとしたんです。

[ハローラ]
でもやっぱりダメでした。

[ハローラ]
はじめはお家で流れ星を待っていたんですけど、
だんだん待ちきれなくなって、旅に出たんです。

[キシャラ]
流れ星を探すために?

ハローラはコクリと頷くと、
そのまま俯いてしまいました。

[ハローラ]
……でもダメですね。これだけ旅を続けて、一度
も願いを唱えきることができないんですから……。

[キシャラ]
叶ってるよ!

[ハローラ]
え?

[キシャラ]
だってハローラ、ひとりで旅してるんでしょ?

[キシャラ]
今だって、あたしとこんなにたくさん
おしゃべりしてるしさ。

[ハローラ]
……本当だ。

キシャラの言葉で、ハローラはようやく今の自分
に気が付いたみたいです。

[ハローラ]
流れ星に向かって、慌てず、素早く、3回、
願いごとを唱えることに必死で、
全然気が付きませんでした……。

[ハローラ]
故郷を出てからずっと、
わたしはひとりで生きてきました。

[ハローラ]
瓶に詰まった星の数だけ、わたしはいろんな場所
に行って、いろんな人と出会いました。

[ハローラ]
知らず知らずのうちに、成長してたってこと
だよね? すごいね、フローラ。

キシャラはそんな風に彼女を讃えますが、
ハローラは瓶に詰まった星くずをじっと見つめ、

[ハローラ]
お星さま、本当にありがとうございました。

と、深々と頭を下げました。

それはそれは長い長いお辞儀でした。

[キシャラ]
どうして星にお礼をいうの?
自分の頑張りでなりたい自分になったのに……。

[ハローラ]
でもやっぱり、お星さまがなかったら、
今のわたしはありませんから。

[キシャラ]
たしかにそうかも知れないね。

[ハローラ]
はい。やっぱりお星さまのおかげです。

[キシャラ]
ねえ、これから空に昇ってみない?
星のすぐ近くまで、連れて行ってあげる。

[ハローラ]
え? そんなことができるんですか?

[キシャラ]
うん。さあ、あたしに掴まって!

キシャラはハローラの手を掴むと、
オーロラに乗って空へ登って行きました。

そうして、ハローラは大好きな星々に囲まれて、
それはそれは楽しい時間を過ごしたのでした。

武器を作りて勇者を待つ→

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posted by yamanuko at 21:51| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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