2016年09月18日

空戦のドルキマスU 昏き英雄 〜 上級:空の迷い路

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[フェリクス]
補給艦が近づいてきたみたいだぜ、少将さん。

ドルキマス王都まで、
あと数日というところだった。

燃料、砲弾、食糧。大軍勢を支える物資は数多い。

これまでは制圧地域のドックから補給していたが、
ここから王都まではドックがない。

そこでディートリヒは、
国内の商人ギルドと約束を取り付け、
補給艦を用意させていた。

[クラリア]
ご苦労。戻っていいぞ、シェーファー。

[フェリクス]
いや。補給中を敵に狙われる可能性がある。
このまましばらく哨戒を続けるつもりだ。

[クラリア]
慎重だな。いいだろう、任せる。

[フェリクス]
傭兵なんてのは、
慎重なくらいでちょうどよ、ちょうど。

軽口を叩いて、フェリクスは通信を打ち切った。

その顔から、スッと表情が消える。

[フェリクス]
さて……仕事か──

  *  *  *

[フェリクス]
内通者がいるんだろうとは思っちゃいたが、
まさかあんただったとはね……。

[フェリクス]
しかし、ずいぶんすんなり打ち明けたもんだ。
俺がその話を手土産にディートリヒと
話すとは思わなかったのか?

[ローヴィ]
傭兵は金で動くものでしょう。

ローヴィは、1枚の小切手をフェリクスに手渡す。

[ローヴィ]
これだけあります。成功報酬はこの2倍です。

[フェリクス]
……なるほどね。
こいつは確かに、大したもんだ。

[ローヴィ]
加えて申し上げますが──
我々は、あなたの素性もつかんでいます。

[ローヴィ]
ボーディス王国……
2年前に閣下が攻め落とされた国の、
第2王子であらせられる。

[フェリクス]
…………。

[ローヴィ]
アルトゥール殿下は、
ボーディスを属国ではなく、
独立国として扱う用意がある、と……。

[フェリクス]
ついでに、引き受けなかったら、
俺が敗戦国の王子だって情報を
ディートリヒに流すつもりだろ。

[ローヴィ]
ふん……選択の余地はないってわけか。

  *  *  *

[フェリクス]
こちとら傭兵なんだ。悪く思うなよ……。

  *  *  *

到着した補給艦がディートリヒ軍と合流し、
空中で物資の受け渡しを行っていく。

早々に補給を済ませたクラリア艦は、
敵の襲撃に備えて目を光らせていた。

その甲斐あって、謎の飛行物体の襲来≠ノ
気づいたのは、彼女の船が最初だった。

[クラリア]
──って、あれは──

フィルマメント.jpg

翼を広げて大空を舞い、激しい咆哮を上げて
迫り来る、その巨体は。

[クラリア]
ド──ドラゴンんん!?

[ルヴァル]
魔法使い!

警報が鳴り響くディートリヒ艦。

その廊下で、君はルヴァルに呼び止められた。

[ルヴァル]
卿に頼みがある。力を貸してほしい。

いいけど、何を? と尋ねる君に、
ルヴァルは苦々しい顔をしてみせる。

[ルヴァル]
実は今、この艦隊をドラゴンが襲っている。

[ウィズ]
ドラゴン!?
ひょっとして、〈ウォラレアル〉にゃ!?

竜とともに戦う者たちの国が、
この世界にはあるはずだった。

[ルヴァル]
いや。彼らとは違う。別口のドラゴンだ。

[ルヴァル]
ドルキマスの隣国の山に棲む、古の竜。
人語を解するほどの知性はないが、
本能的に魔力を操るのに長けている。

[ルヴァル]
万全の状態であればともかく、
補給中に奇襲を受けたのでは、
この軍とて蹂躙されかねん。それほどの相手だ。

[ウィズ]
どうしてそんなものが襲ってきてるにゃ!?

[ルヴァル]
怒り狂っている。魔法で呼びかけてみたが、
我を忘れているため、交渉どころではない。

[ルヴァル]
ただ、竜はこう叫んでいる。
我が卵はどこにある>氛氓ニ。

[ウィズ]
ひょっとして……。

ルヴァルは、静かにうなずいた。

[ルヴァル]
竜の卵が、運び込まれたのだ。
補給艦によって。
この軍の、いずれかの船に。

[ルヴァル]
それを探さねばならない。
手伝ってくれるか、魔法使い。

一も二もなく、君はうなずいた。

[ルヴァル]
卿にこれを預ける。

[ルヴァル]
〈天翔靴〉だ。
空を駆けるように跳躍できる。
これを使って卵を探してくれ。

[ルヴァル]
竜の卵は魔力の塊のようなものだ。
魔道士である卿ならば、
近くに行けば感知できるだろう。

靴を受け取った君は、ルヴァルの魔法で、
一瞬にして船の上へと転移した。

そこからは、状況がよく見えた。

ドルキマス軍艦の2倍近い大きさを誇る竜が、
艦隊のど真ん中で、
めちゃくちゃに暴れ回っている……!

何隻もの軍艦が
竜の腕や牙を受けて火を噴き上げ、
高度を落としていく。

ドルキマス軍も竜に砲撃を繰り返しているが、
竜にはいっさい痛打を与えていない。
魔力の膜が、その全身を守っている。

[ルヴァル]
ディートリヒのことだ。
すぐに対処手段を講じ、竜を撃墜するだろう。

[ルヴァル]
だが、あの竜は周辺痴呆の季候の安定を
司る存在でもある。殺させるわけにはいかない。

[ルヴァル]
私が竜を抑える。
頼んだぞ、魔法使い……!

  ◆  ◆  ◆

(道中)
竜の卵を探すなんて大変なことにゃ……。
見つけないとディートリヒたちが危ないにゃ。

[ディートリヒ]
なるほど。竜の卵、か……。

君は、ドルキマスの艦隊を跳び移りながら、
ディートリヒ艦と通信していた。

これもルヴァルに借りた〈天想羽〉なる道具に
よるものだ。

[ウィズ]
どれかの船にこっそり積まれてるはずにゃ。
こっちでも探してみるけど、
そっちでも探してみてほしいにゃ!

[ディートリヒ]
ローヴィ。

[ローヴィ]
はっ。各艦に伝達いたします。

[ウィズ]
助かるにゃ。

[ディートリヒ]
ところで、あの竜に砲撃が効かないのは、
魔力による防御のせいだと言ったな?

そうだよ、とうなずいて、君は遠くに視線をやる。

砲弾の雨をものともせず暴れる竜が、
また1隻、軍艦を叩き落としたところだった。

[ディートリヒ]
魔力とは、無限に湧いて出るものか?

[ウィズ]
そんなことはないにゃ。
使い続ければいずれ枯渇して──

言いかけて、ウィズがハッとする。

が、遅かった。

[ディートリヒ]
そうか。

ディートリヒは、それしか言わない。

だが、彼の頭のなかに対抗策が生まれたことは
まちがいがなかった。

おそらくは──きわめて非情な対抗策が。

[ウィズ]
待つにゃ、ディートリヒ!
あの竜を倒したら、
隣国の季候が荒れるらしいにゃ!

[ディートリヒ]
ドルキマスに害はないということだな。

あっさりと彼は答える。

ウィズは、がっくりと肩を落とした。

[ウィズ]
ごめんにゃ。私がうかつだったにゃ。
ディートリヒが何かするより早く、
卵を見つけなきゃいけないにゃ……!

だいじょうぶ、と君は答える。

ちょうど、
新たな船の上に跳び移ったところだった。

足元から、驚くほど濃密な魔力の気配が、
ぞくぞくと伝わってくる。

[ウィズ]
あった! 卵にゃ!

あとはこの船の人間に話を通して、
竜に卵を返せるようにすれば──

[ルヴァル]
卿!

突然、目の前にルヴァルが飛んできた。

[ウィズ]
ルヴァル、ドラゴンはどうしたにゃ!?

[ルヴァル]
どうにかこちらに誘導した。

ルヴァルは天の使いの証たる翼を広げ、
手に聖なる光を放つ剣を携えている。

[ルヴァル]
しかし、竜の怒りは頂点に達している。
このままでは卵を渡すと言ったところで
聞いてくれはしないだろう。

[ルヴァル]
卿の魔法なら、あの竜にも打撃を与えられる。
荒っぽいやり方になるが、
いったん武力で鎮めるぞ!

  ◆  ◆  ◆

(クリア後)

君とルヴァルの攻撃を受けて、
巨竜はふらつき、攻撃の手を止めた。

[ルヴァル]
よし。私は竜に呼びかける。
卿はこの船の者と話してくれ!

  *  *  *

[クラリア]
竜の卵? 確かにその話は聞いているが──
は!? この船にか!?

[クラリア]
……それを渡せば、竜は攻撃をやめるんだな?

[クラリア]
わかった。
──貨物庫、開け!
他の物資が壊れてもかまわん!

動きを止めた竜──その目の前にある船の
貨物庫が、ゆっくりと開いていく。

そのさまを、フェリクスの船は捉えていた。

なだらかな山脈の影に隠れ、
息を潜めて戦いの様子をうかがっている。

[フェリクス]
そういうことかよ……。

依頼内容を思い返し、フェリクスは舌打ちする。

  *  *  *

[ローヴィ]
距離を取って待機し、
もしシャルルリエ少将の船に竜が近づいたら、
貨物庫を狙撃してください。

  *  *  *

[傭兵]
どうすんだい、隊長。
敵さん=A射程内に入ったぜ。

フェリクスはわずかに考えてから──

[フェリクス]
撃ち方、始め。

静かに命じた。

  *  *  *

君とウィズは、ルヴァルの魔法で
ディートリヒの船に戻った。

[ウィズ]
にゃはは!
なんとかなってよかったにゃ!

そうだね、と君は苦笑する。

卵を取り戻したドラゴンは、
ルヴァルの説得の甲斐あって、
怒りを鎮め、山に帰ってくれた。

[ルヴァル]
助かった。卿のおかげで、事なきを得た。

[ルヴァル]
しかし、相手も大胆な手を打ってくる。
古の竜の卵を利用してまで
ディートリヒを討とうとは……。

[ウィズ]
補給艦に敵がまぎれこんでたのかにゃ?

[ウィズ]
でも、それなら、伏兵を置いていても
よさそうなものだったけどにゃ……。

確かに。もしあの状況でさらに敵の攻撃を
受けていたら、と思うと、ぞっとする。

[ルヴァル]
兵力の少なさが敵のネックらしいからな。
竜を利用したのも、その弱点を補うためだろう。

[ルヴァル]
なんにしても、おかげで竜を死なせずに済んだ。
心より礼を言う、魔法使い。

[ウィズ]
お礼は、この靴と羽でいいにゃ!

[ルヴァル]
すまないが、それはちょっと……。

補機で申し訳なさそうな顔をするルヴァルに、
君はあわてて、
ウィズ流の冗談であることを伝えた。

  *  *  *

[ディートリヒ]
報告は聞いた。卵を狙っていた
敵艦を沈めてくれたそうだな。

[フェリクス]
さすがに敵さんも、
ドラゴンを放り出しておしまいってんじゃ
なかったわけだ。

[フェリクス]
そのへんはカンがきくんでね。
主砲を撃とうと首ィ出したところを
ズドン! てなもんさ。

[ディートリヒ]
働きには、相応に報いよう。
今後も、貴君の力を見せてくれたまえよ。

[フェリクス]
あんたが俺らを飼ってくれている限りは、
ご期待に沿えてみせるとしますかね。

[ディートリヒ]
ところで、貴君。
ボーディス王国の第2王子だな。

さらりと言われ、フェリクスは言葉に詰まった。

[フェリクス]
……なんだ、バレてんのかよ。

[フェリクス]
王子って言っても、今はしがない傭兵だ。
我が国は傭兵大国でね。
家督を継がない王子は傭兵をやる決まりなのさ。

[フェリクス]
とはいえ、疑うなってのが
無理な話かもしれんが……。

[ディートリヒ]
いや。

ディートリヒは、静かに笑みを深めた。

[ディートリヒ]
貴君はもはや王子という器には戻れまい。
すでに戦争のにおいにまみれすぎている。

[フェリクス]
身だしなみには気をつけるタチなんだがね。

[ディートリヒ]
どう繕ったところで、わかる者にはわかる。

[ディートリヒ]
沁みつくのだよ。
血と、鉄と、火の香りが──
その魂にな。

  *  *  *

ディートリヒの部屋を辞し、
しばらく歩いたところで──

通路の先で待つローヴィに出くわし、
フェリクスはニヤリと笑った。

[フェリクス]
美人に出待ちをしてもらえるなんてなァ、
男冥利に尽きるね。

[ローヴィ]
金で動くのが傭兵……
ではなかったのですか?
フェリクス・シェーファー。

硬い表情を見せるローヴィに、
フェリクスは悪びれた風もなく、
肩をすくめる。

[フェリクス]
契約中に乗り換えるってのは、
ま、さすがにちょいとね……。
仁義にもとるって、考え直したのさ。

[フェリクス]
それに──積み荷を撃つとは聞いたが、
それが卵とあっちゃあね……。

[ローヴィ]
傭兵にしては甘いことを言いますね。

[フェリクス]
自分で納得できないマネはしたくないのさ。

フェリクスは、ふと真剣な顔になって言った。

[フェリクス]
そいつを許すと、なんでもありになっちまう。
俺みたいなごろつきは、
どかkで歯止めをかけとかなきゃならん。

[フェリクス]
それと、理由はもうひとつ。
あんたの瞳が揺れてたからさ。

[ローヴィ]
私が……。

予想外の言葉で切りこまれ、
ローヴィは思わずたじろいだ。

[フェリクス]
ブレてる奴の側につくのは、リスクが大きい。
こいつは俺の経験論だ。

フェリクスは、
ローヴィに手に小切手を押しつけ、
すたすたとその横を通り過ぎていく。

[フェリクス]
安心しな。あんたのことは言わんよ……。

[フェリクス]
別に情けをかけるってんじゃない。
言ったところで、
俺の方が信じてもらえないだろうからな。

[フェリクス]
だが──

[フェリクス]
そろそろ、選ぶ時期が来てるんじゃないのかい。
大元帥の副官さんよ。

[ローヴィ]
…………。

ローヴィは答えず、じっと沈黙を保っていた。

  *  *  *

[ディートリヒ]
貴君。

唐突に廊下で呼び止められ、
ルヴァルは振り返って敬礼した。

[ルヴァル]
いかなる御用でしょうか、元帥閣下。

顔を近づけ、ささやくような声で、
ディートリヒは問うた。

[ディートリヒ]
貴君は、何者だ?

[ディートリヒ]
この船で貴君だけが唯一、熱を帯びていない。
聞こえないのだよ。戦争の鼓動が……。

ルヴァルは答えない。

ディートリヒは、
喰らいつく隙をうかがう蛇の瞳で、
名を呼んだ。

[ディートリヒ]
答えたまえよ。
ルヴァル・アウルム……。

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posted by yamanuko at 22:38| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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