2016年09月18日

空戦のドルキマスU 昏き英雄 〜 従兵エルナ

←初級:国境を越えて

[ウィズ]
船の速度が落ちたにゃ。
戦いが終わったのかにゃ。

そうかもしれない、とウィズと話していると、
独房の外の廊下から、
ガラガラと何かを運ぶ音が聞こえてきた。

[ウィズ]
ごはんのにおいにゃ!

ウィズが顔を輝かせて起き上がる。

すぐに独房の扉が開かれ、
軍服をまとった少女がひとり、
トレイを手にして入って来た。

エルナ.jpg

[???]
失礼します。
お食事をお持ちしました。

[ウィズ]
待ってましたにゃ!

[???]
お待たせしちゃって、ごめんなさい。
本当はもっと早くお持ちしたかったんですけど、
先ほどまで交戦状態にあったものですから。

[???]
ビーフシチューです。
黒猫さんにはこちらのチキンフライを。

ありがとう、と言って、
君は食事の乗せられたトレイを受け取った。

ウィズもチキンフライにかぶりついている。

[ウィズ]
にゃはは! まあまあの味にゃ!

[???]
お口に合って良かったです。

にっこり笑って、彼女は一礼する。

[エルナ]
わたし、ベルク元帥つきの従兵のエルナと
申します。今後もお食事をお持ちいたしますので、
よろしくお願いしますね。

[ウィズ]
ディートリヒの従兵……にゃ?

[エルナ]
はい。閣下のお食事やお着替えを準備するのが、
わたしの務めなんです。

ディートリヒの
身の回りの世話をする人がいる……。

考えてみれば当たり前だが、
なんだが不思議な気がした。

[ウィズ]
火薬を食べて生きてそうだしにゃ。

[エルナ]
あはは。たまに言われますね。
元帥閣下が食事を摂っている光景が
まるで想像できない≠チて。

[エルナ]
でも、閣下も人の子ですから。
そりゃあ必要ですよ。そういうことも。

エルナは、朗らかに笑った。

まるで軍人ではなく普通の町娘のような、
素朴で明るい笑顔だ。

ディートリヒの近くにいる人間としては、
ちょっと意外なタイプかも、と君は思った。

[ウィズ]
ところで、私たちは
いつになったらここから出してもらえるにゃ?

[エルナ]
うーん、すみません。
そればっかりは、ベルク元帥次第ですので……。

[エルナ]
わたしからも申し添えておきますね。
おふたりとも感じのいい方で、
きっとスパイなんかじゃないと思いますって。

[ウィズ]
助かるにゃ。

君も、微笑みながら、
ありがとう、とお礼を述べる。

そうしてみると、
なんだか笑ったのさえ久々に感じた。

このところずっと、〈イグノビリウム〉との
戦いに明け暮れていて、
笑顔を浮かべることさえなくなっていた。

こんなふうに微笑みながら、誰かと会話を交わす。
そんな当たり前のことさえ、
すごく懐かしいことのようだった。

[エルナ]
ところで、魔法使いさん、ウィズさん。

[エルナ]
おふたりは、未来からいらっしゃったんですよね?

[ウィズ]
そうにゃ。
ディートリヒは信じてくれないけどにゃ。

[エルナ]
ふふ。わたしは信じますよ。
おふたりの話が本当だったら、
ドルキマス王を倒せるってことですもんね。

[ウィズ]
エルナは、
ディートリヒの謀反が
成功した方がいいって思ってるにゃ?

[エルナ]
もちろんです。

エルナは真剣な顔でうなずいた。

[エルナ]
わたし、もともとはスラム育ちで……
ドルキマスの荒廃をずっと見てきたんです。

[エルナ]
ドルキマスは小さな国で、
他国と戦争になったらまず勝ち目はない、って
言われていました。

[エルナ]
幸い、小国だからこそ戦略上の価値も低くて、
まだ侵略の標的には
なってなかったんですけど──

ドルキマス王.jpg

[エルナ]
それでもいつかは呑み込まれる。
王はそれを恐れて、国の防備を固めに走りました。

[エルナ]
新しい要塞や戦艦を建造するため、
たくさんの人を無理に動員したり、
極端に税率を上げたり……。

[エルナ]
その結果、
貧富の差が急速に拡大して……
国内の治安も極端に悪化してしまったんです。

[ウィズ]
外敵から国を守ろうとして、
国内が荒れる原因を作っちゃったんだにゃ。

ウィズの言葉に、エルナはこくりとうなずく。

[エルナ]
そうなんです。
でも、それはもう過去の話なんですよ。

[エルナ]
ついに他国の侵略が始まり、案の定、
ドルキマスは敗戦を重ねていって……
そんなとき、ベルク元帥が入軍されたんです。

[エルナ]
そして、ベルク元帥はドルキマス軍の劣勢を覆し、
ついには侵略してきた国へ逆に侵攻して、
ドカンと制圧してしまったのです!

[ウィズ]
……とんでもない武勇伝にゃ。

ディートリヒ2.jpg

普通なら眉唾物だが、
あのディートリヒならやりかねない……と、
君も思わずうなずいていた。

[エルナ]
そこからはもう、連戦連勝の日々ですよ!
周辺諸国を次々に平らげ、
我がドルキマスは一気に豊かになりました。

えへん、とエルナは我がことのように胸を張る。

[ウィズ]
国が豊かになったのなら、
どうして謀反なんか起こそうとするにゃ?

[エルナ]
それがですね……
ドルキマス王が、相も変わらず、
どんどん要塞とか増やしちゃうんですよ。

[ウィズ]
もうどこからも攻められていないのに……にゃ?

[エルナ]
ええ。まるで何かを怖がってるみたいに……。
おかげで、国にお金が入っても、
かなりの量がそっちに消えちゃうんです。

[エルナ]
だから元帥閣下も、そんな奴は
いい加減どうにかしちまえ、とおっしゃって。

実際は、
もっとちゃんとした発令だったんだろうけど。
意味的には、確かに彼の言いそうなことだ。

[エルナ]
このまま謀反が成功したら、
王様のせい≠ナ起こっていた
いろいろな問題が、一気に解決するんです。

[エルナ]
そうしたら治安も回復するでしょうし、
要塞を建造する費用なんが、医療や教育に
ガンガン回せるようになると思うんです。

[エルナ]
だからね。みんな、期待しているんですよ。
ベルク元帥が導かれる国──
平和に満ちた、新たなるドルキマスに!

少将だ!!→

←目次

←トップ
posted by yamanuko at 22:18| Comment(0) | イベントストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


人気ブログランキングへ